暖かい季節になってきた今日。冬に活躍したスタッドレスタイヤを交換したり、春本番に向けてのメンテナンスを行う時期になりました。
スタッドレスタイヤの話題のなかでは、「スタッドレスタイヤはそのまま履きつぶしたほうがいいのか、使用限界が来たら廃棄するのか」というのが、時々疑問として挙がります。
今回は、スタッドレスタイヤの履きつぶし問題とタイヤの寿命、そしてオールシーズンタイヤについて解説していきます。
文/斎藤聡
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スタッドレスタイヤ履き替えの疑問の答えは?
「スタッドレスタイヤはそのまま履きつぶしたほうがいいのか、使用限界が来たら廃棄するのか」というのは時々話題に挙がるテーマです。
結論を急げば、特別な事情がない限りはスタッドレスタイヤの使用限界が来たところでタイヤ交換をお勧めします。
スタッドレスタイヤの寿命は、摩耗を基準にすると50%摩耗までです。スタッドレスタイヤの溝深さが50%のところにプラットフォームといって、トレッドの主溝部分にスリップサインとは別の摩耗を知らせる突起があります。
現在日本の法律ではスタッドレスタイヤの摩耗が50%に達するとスタッドレスタイヤとしては使えなくなってしまいます。一般的には、1シーズンに5000km走ったとしても4シーズンくらいはスタッドレスタイヤとして使えると思います。
問題はその後のスタッドレスタイヤの扱い方です。日本人的「もったいない」の心からすると、そのままタイヤを履き続けるのが美徳のようにも思えます。
実際スタッドレスタイヤは50%摩耗した後も使えないわけではなく、法律的にもサマータイヤとしてなら使えることになっています。
ではなぜ、そのまま履きつぶすのをお勧めしないのか。
スタッドレスタイヤの履きつぶしがダメな理由とは
理由は2つあります。1つは経年劣化の問題です。タイヤは時間の経過とともにゴムが劣化していきます。ゴムが硬化したり油が抜けてひびが入ったりと、ゴム自体の性能が悪くなっていくわけです。4年から5年使ってしまうと、さすがに溝が50%以上残っていたとしてもスタッドレスタイヤとしての性能はかなり落ち込んでしまいます。
最新のスタッドレスタイヤはロングライフ性に配慮しているので、保管状態が良ければゴム自体の大幅な性能の落ち込みはそれほどないかもしれませんが、摩耗もブロックの角が削れて丸まってしまったり、サイプが開いてしまったりと、摩耗の部分の性能低下も考えられます。
2つ目はソフトな冬用コンパウンドで夏の舗装路を走る危険性です。なぜスタッドレスタイヤが氷や雪の路面でグリップするかというと、低温になっても柔軟性を失わないトレッドゴムが使われているからです。
タイヤに使われているゴムは、気温が低くなると徐々に柔軟性が少なくなってゴム本来が持つグリップ性能を引き出せなくなってしまいます。ウインタータイヤ(スタッドレスタイヤを含む)は寒冷時でもゴムの柔軟性が失われないように作られているのです。
その代わりサマータイヤ(普段はいているタイヤの別称)ように酷暑や熱せられたアスファルトが苦手なのです。もともとソフトに作られているトレッドゴムがさらにソフトになって操縦安定性が悪くなったり、ドライ路面の制動距離が長くなってしまいます。
摩耗が50%を越えてもトレッドゴムは冬に適したソフトなコンパウンドですから、法律では冬用タイヤとは認められませんが性能は冬用タイヤのままなのです。
もちろんブロックが低くなって剛性が上がるので新品時に比べればブロック剛性は高くなりますが、ドライ路面で求められる負荷を考えるとソフトすぎるのです。
もちろん、冬場でも日差しの強い暑い日があり、そんな日でもスタッドレスタイヤでドライ路面の高速道路を走れることでもわかるように、全く走れないわけではありません。
ただ前年まで履いていたサマータイヤが残っているはずなので、安全を考えるとサマータイヤへ履き替えるのがいいでしょう。
一見もったいないような気もしますが、安全性が優先です。また、スタッドレスタイヤを3~4シーズン使ったならば、元を取ったと考えるべきだと思います。
冬季、スタッドレスタイヤに履き替えるほど頻繁に雪のあるところに行かないので、スタッドレスタイヤは必要ない。そんなふうに考えている人も少なくないと思います。
もちろん冬に必ずスタッドレスタイヤを履く必要はありません。ただ、先にも触れましたが、タイヤのトレッドゴムは気温が低くなると徐々に柔軟性が失われ本来の性能が発揮できなくなってしまいます。そのため安全性を考えると、冬には冬用タイヤを装着するのがベストです。
日本ではスパイクタイヤが製造・販売・使用禁止になり、その代わりにスタッドレスタイヤが作られ浸透したことで、これが冬用タイヤの代名詞のようになっているのです。
ただ世界的にみるとスタッドレスタイヤは少数派で、欧州では氷雪上性能はスタッドレスタイヤほど優れてはいませんが、その代わり高速道路で優れた操縦安定性を備えたウインタータイヤが主流です。
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