空気が抜けにくいと一時期流行ったけど……タイヤの窒素充填は必要があるのか!?


■シーンによっては一定のメリットがあるが 一般向けとは言えないホントのところ

窒素を充填するにしても普通の空気を充填するにしても、タイヤの空気圧チェックはこまめに行いたい(sum41@AdobeStock)

 ただ、窒素が熱膨張しないというのはたぶん何かの間違いで、ボイル・シャルルの法則(一定量の期待の体積は圧力に反比例し、絶対温度に比例する)がほぼそのまま当てはまるので、空気と窒素の間に大きな膨張差はないと考えていいと思います。

 だって空気中の約78%が窒素で、約21%が酸素、アルゴンが約1%(ちなみに二酸化炭素は0.03%ほどです)ですから、窒素の性能ではなくドライエアかどうかのほうが大きな影響があるのです。

 空気のほうが空気圧が高くなりやすい理由を探すとすれば、空気中に含まれる水分です。実際、最近のレースでは窒素ではなくドライエアを充填する方向に変わってきているようです。

 というわけで、乗用車に窒素ガスを入れるメリットですが、[1]エアに含まれる水分量の少なさ、[2]酸化しない、[3]エアの抜けにくさというのが理由に上がりそうです。

 空気圧にこだわりたいという方は、窒素ガスの充填をするのがいいのではないかと思います。窒素ガスを充填することのデメリットが特に見当たらないのもポジティブな理由と言えると思います。

 ただ、[1]の空気圧の上昇は、限界領域で走るサーキットならともかく、一般道では高速道路を走り続けても空気圧の上昇は1割程度です。

 タイヤ交換をした時にタイヤの内部を見るとわかりますが、普通に空気を充填していても、実はかなりカラッとしています。湿っていたりジトジトしていたりというほど水分は含まれていないので、水蒸気が膨張して空気圧が急激に高まるなんてことは起こりません。

 タイヤ自体は4年から5年で交換することを考えれば、[2]の酸化による影響は無視していいと思います。ホイールに対する酸化は10年スパンで考えると無視はできないかもしれませんが、クルマの買い替え、タイヤの交換時に手入れをすれば、これもそれほど気にしなくていいものともいえそうです。

 [3]エアの漏れについてはどうでしょう。これについてはタイヤメーカーも空気圧チェックを呼び掛けています。

 ゴムの気体透過性は天然ゴムを例に挙げると、気温25度で水素を100としたとき酸素が50%ほど、窒素は20%ほどなので、窒素の透過率には差があるのですが、乗用車用タイヤにはエア漏れを少なくするために気体の透過率の悪い(エアが漏れにくい)ブチルゴムを材料にしたインターフィルムが採用されています。

 ブチルは水素の透過率を100とした時の酸素の透過率が約3%、窒素に至っては0.5%と、ほとんど漏れがありませんから、エア漏れについても窒素を入れるメリットはあまりありません。

 窒素ガス充填と空気の充填でまったく差がないわけではないのです。サーキット走行などを想定しているなら一定のメリットはあると思います。ただストリート用にあえて有料で窒素を入れるほどのメリットはないだろうと思います。

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