■限定車は転売の標的となる
同じくトヨタの「GRMNヤリス」は今、どうなっているだろうか?
ご承知のとおりGRMNヤリスは、2022年1月14日に先行予約が開始されたGRヤリスのフルチューンバージョン。モータースポーツの現場で鍛え上げられたクロスレシオトランスミッションとローファイナルギアのセットを採用。
1~4速はクロスレシオ化され、信頼性向上のため1、3、4、5速とファイナルギヤにはSNCM材を採用するとともにショット処理を追加し、ショックトルク強度と疲労強度を向上。
さらに、軽量高剛性なカーボンをフードやルーフ、リアスポイラーなどに採用しつつ、リアシートを撤去して乗車定員2名としたことで、約20kgの軽量化にも成功している。
車両本体価格はベースグレードが731万7000円で、スーパー耐久シリーズ参戦からフィードバックを受けてロード性能を突き詰めた「Circuit package」は846万7000円。
全日本ラリー選手権参戦からフィードバックを受け、あらゆる路面での走破性を高めた「Rally package」は837万8764円。GRMNヤリス全体の販売台数は「限定500台」である。
で、そんな限定500台のGRMNヤリスは前述のとおり2022年1月14日から2月28日にかけて先行予約が行われた。当然ながら「申込者多数のため抽選に」ということになったわけだが、その抽選結果も3月9日にはメールで申込者に配信された。競争率はおおむね20倍だったようだ。
そして競争率約20倍の狭き関門をくぐり抜けた強運な500名には「ご当選」というメールが届き、その他の約9500名には「キャンセル待ち」という名の落選通知が届いた。
見事当選した人々が無事契約に至った場合は今年夏頃にデリバリーされるようだが、今のところ、憎き転売ヤーによる「GRMNヤリスを特価にてお譲りします。詳しくは○○○.co.jpまで」のような宣伝は行われていない模様だ。
だが今後は「転売ヤーが超高値で転売したGRMNヤリス」が市場に流れてくることはほぼ間違いない。
いや、おそらく98%の当選者は転売などせず、GRMNヤリスを長く激しく愛するのだろう。だが500名の当選者の中に2%の転売ヤーが紛れ込んでいれるだけで、都合10台のGRMNヤリスが超高値にて市場に流れてくることになるのだ。
その場合のGRMNヤリスの転売価格(プレミアム価格)は、果たしていくらになるだろうか?
単純計算するならば、車両価格800万円のランクル300 GR SPORTが1600万円前後で転売されているので、車両価格846万7000円(※Circuit packageの場合)のGRMNヤリスも「1600万円ぐらい」ということになるのだろう。
だが、主には富裕層に人気のランドクルーザー GR SPORTと違い、GRMNヤリスは「富裕層というほどではないけれど、けっこうお金は持っている走り好きな人」の間でこそ人気が高いはず。
そうなるとユーザー層(ターゲット層)の違いから、憎き転売ヤーもGRMNヤリスについてはランクル300より若干安めな「1300万円ぐらい」の設定でくるような気がする。
いや……「待ちさえすれば確実に買えるカタログモデル」であるランクル300 GR SPORTと違い、GRMNヤリスは「たぶん追加生産はされない500台だけの限定車」だ。
その分だけ希少価値と精神的な付加価値は高いと考えると、ランクル300をも上回る「1800万円ぐらい」で未使用車を出してくる可能性もあるだろう。その場合の転売ヤーの粗利は約1000万円。
誠に許しがたき、悪魔の所業である。
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