■S201(2000年)
上記の2台とは違い、「Sシリーズとは何ぞや」を瞑想していた一台。当時のスバルはWRC全盛期でサーキットレースは少数派。スーパーGTにクスコレーシング、スーパー耐久にはプローバなどが参戦していたが、目立った成績は上げられず……。
そんななか、Sシリーズ第1弾となる「S201」は、1999年の東京モーターショーに参考出品されていた「インプレッサ・エレクトラワン」の市販版。最大の特徴はレーシングマシンをイメージしたエアロパーツ。
このエアロは富士重工の風洞を用いて煮詰められた空力ボディだが、機能を追求しすぎたのか見た目は……。インテリアはブルーのコーディネイトが特長で、硬派なRAをベースにしながらも、オートエアコンやパワーウィンドウなど、快適装備も充実していた。
実はメカニズムもかなり凝ったモノで、エンジンは吸排気/ECU変更でインプレッサ初となる300psを達成。フットワークSTI初採用となる車高調整式サスペンションとリアサスのピロボール、RAYS製アルミホイールなどが装備されていた。
その見た目に圧倒されるが、走りは硬派で動的質感はまったく感じられないものの、キレのあるエンジン、アンダー知らずのハンドリング、想像よりも快適なセットのサスペンションなど、サーキットを元気に走らせるにはいいバランスだった。このあたりはコンプリートカーならではのトータルパフォーマンスである。
実はS201の2年前にWRカーレプリカである「22B STiバージョン」が登場したばかりで、「それとは違うモノを!!」と言う考えから「STIの新たな挑戦」と言うことで開発されたが、22Bのようなカリスマ性はなく、逆にWRX STIのなかでは「黒歴史」と言われることも……。
ただ、コイツが出なかったら、その後のSシリーズは存在しないわけで、ある意味重要なモデルと言えるだろう。ちなみに現在、最も希少性の高いSシリーズだ。
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