次期型WRX STIが出ない理由と「エモいSTIコンプリートカー3選」


 スバルUSAから突如として発表された「次期型WRX STIの当面発表なし」との公式アナウンス。この内容にガックリと肩を落としているスバリストたちも多いと思うが、なぜスバルはそう決断したのだろうか。

 その理由について探るとともに、すでに発売された過去の歴代WRX STIをベースとしたコンプリートカーたちのなかで「エモーショナルなモデル」について、自動車研究家の山本シンヤ氏が3台選んだ。

文/山本シンヤ写真/スバル、STI、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】歴代STIコンプリートカーのなかでエモーショナルな3台とWRX STIシリーズの変遷を追う!!(31枚)画像ギャラリー

■年々厳しさを増す燃費規制が次期型WRX STI開発のネックに!

ベストカー編集部製作の次期型WRX STI予想CG。残念ながら内燃機関をパワートレーンとしたWRX STIは当面出ないことがアナウンスされている

 スバルにとって北米は重要な市場だが、現地のリテーラー宛てに送られた「次期WRX STIはラインナップしない」というリリースは、世界中を駆け巡り、多くのスバルファンはガッカリしているだろう。

 現在、自動車業界は「100年に1度の変革期」と言われているが、その大きな課題のひとつが「電動化」である。電動化に向かう理由は、年々厳しさを増している「燃費規制」が要因だ。これは1車種の燃費で環境負荷を判断するのではなく、メーカーの全車種の各販売台数に応じて全体の平均燃費を算出して評価される。

 これがネットでもよく聞かれる「CAFÉ規制(企業別平均燃費規制)だが、次期型WRX STIが販売されない最大の理由こそがコレなのだ。

■実はWRXは北米市場では堅実に売れ続けている!?

北米ではこの新型WRXと先代型WRX STI(EJ25ターボ搭載)が2021年は併売され、合算で年間2万台以上を販売している

 スバル車といえば水平対向エンジンだが、この30年で「EJ」→「FA/FB」→「CB」へと進化を遂げている。燃費は年々改善されていったとはいえ、ライバルの同クラスのエンジンと比べると「ウーン」と言わざるを得ないのも事実だ。

 スバルファンのなかには「スバル乗りは燃費を気にしない」と言う人もいるが、個人はいいかもしれないが、CAFÉ規制はそれを許してくれない。

「WRX STIはそれほど売れていないから影響しないでしょ?」と思っている人もいるかもしれないが、これも間違いだ。日本仕様は先代型が2019年12月23日で受注を終了しているが、メインマーケットである北米(EJ25ターボ搭載車)は販売が継続されていて2021年に2万7141台を販売している(WRX STIとWRX「日本名:WRX S4」との合算)。

 ちなみにほかのモデルが前年割れしているなか、なんと28.29%増だ。スバルの2021年の世界生産台数は74万4784台だったので、WRXシリーズの比率は全体の3.6%ということになる。

 参考までに、トヨタの2021年の世界生産台数は961万5157台、同じ位置づけとなるGRヤリスの生産台数は約3万台なので、その比率は0.31%。スバルにおけるWRX の影響力の大きさがわかっていただけるだろう。

 CAFÉ規制のことだけを考えると、燃費が決していいとは言えないWRX、そしてBRZは販売しづらい。ただ、どちらのモデルも昨年新型が登場している。こんな時代にスバルのスポーツモデルをシッカリ継承してくれていることに、むしろ感謝しなければいけない。

■WRXというモデルが誕生した経緯

1992年に誕生した初代インプレッサWRX(写真は前期型)。初代レガシィRSに投入されていたメカニズムやパワートレーンがひと回り小さいボディに搭載され、WRCを席捲!!

「ならばWRX STIも何とか!!」と思う気持ちもわからなくないが、ここでもうひとつの理由がある。それは「WRX STIはなぜ生まれたのか?」だ。

 初代(インプレッサ)WRXは1992年に登場したが、このモデルをベースにスバルテクニカインターナショナル(STI)が手を加えたモデルが「WRX STiバージョン」(1994年)だ。その後、競技ベースとなるWRX タイプRAをベースにした「WRX タイプRA STiバージョン」も登場。あまりの人気の高さに生産が追いつかず、いったん生産を終了。

 ちなみに、このモデルまではスバルで生産したベースモデルをスバルテクニカインターナショナルで改造する「メーカー系コンプリートカー」という扱いだった。

 あまりの反響の高さから「スバルの生産ラインで作れないか?」ということで企画されたのが「WRX STiバージョンII」だ。

次ページは : ■先代まで続いたWRX STIとしてのレゾンデートル(存在意義)

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