■世界の原油とエネルギー事情
だいぶお固い内容になっているが、読者の皆さんはついてきているだろうか。編集担当は若干不安です。
さて、現代は原油べったり依存しまくり社会。
そんな原油が採れる国はさぞかし儲かってるんでしょうねということで、世界の原油産出国トップ10(図4)を見ていこう。
1位は並みいる中東諸国を押しのけてアメリカだ。シェアは18.6%。シェールオイルの生産が軌道に乗り産出量を伸ばした。2位にサウジアラビア、3位にロシア、4位にカナダと続く。原油=中東のイメージが大きいだけに意外な結果だ。
原油=中東のイメージが強いのは、中東は原油の輸出余力が大きいことが理由だ。原油の輸出額(図5)も見ていこう。
中東諸国ではサウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラク、カザフスタン、クウェートの5カ国がランクイン。
ただ、アメリカやカナダを見てもわかるとおり、中東(というかOPEC)のシェアは低下してきている。なので、近年の原油の生産調整はOPEC以外の国も加えたOPECプラスで決められている。
最後に、主要国の一次エネルギー構成を見ていこう(図6)。
ブラジルやカナダの水力比率、フランスの原子力比率の高さが目に付くが、どこの国も火力(石油、天然ガス、石炭)への依存度が高いのは共通している。
■日本の発電事情・原油の依存度は?
原油高は電気代に直結するのか?
結論から言うと、直結はしない。下のとおり石油(原油)の占める割合は約7%と低い(図7)。
しかし、原油価格と天然ガス(LNG)の価格は似た動きをするので、原油価格が上がると天然ガス価格も上がる。
日本の発電の約4割を占める天然ガス価格が上がると、発電コストの上昇につながり、電気代が上がるのだ。
■原油価格はこれからどうなる?
最後に現在高騰している原油価格やガソリン価格が今後どうなるのかについて解説する。燃料油脂新聞の記者にも電話インタビューを行った。
●コロナ禍での原油価格の推移をおさらい
新型コロナウイルスの影響で原油需要が大幅に減少し、原油価格が急落した。このためOPECプラスで会議が行われ、2020年8月から970万バレル/日という空前絶後の規模で協調減産が始まった。
最初のOPECプラスで決まった減産幅が180万バレル/日なのを見ると、その減産幅の大きさがよくわかると思う。
その後減産幅は調整されるも、2021年7月まで、700万バレル/日以上の減産が続いた。
●2021年8月から減産幅の縮小(増産)がはじまる
2021年8月から、1カ月ごとに減産幅の縮小(40万バレル/日)が行われていった。
その結果、2022年2月時点での減産幅は296万バレル/日となった。3月も予定どおり40万バレル/日の減産幅の縮小が行われる。
「ロシアのウクライナ侵攻がなければ、2022年後半は原油の需給が拮抗する年になると言われていました」
と燃料油脂新聞の記者は話してくれた。原油の需給が拮抗する状態だと、原油1バレルの価格は70ドル前後だという。2月末現在の原油価格は1バレル90ドル超なので、20ドル程度下がることになる。
●今後のガソリン価格はどうなる?
「ウクライナ侵攻前段階で、ガソリン価格はまだ若干上がる余地がありました。政府の補助金が上限5円でしたが、発表から3週間で到達し、そこからは販売会社が利益を減らして価格の上昇を抑えている状況です。
地政学リスク、新型コロナウイルス、為替動向などの影響で、今後のガソリン価格の見通しは立たない状況です」
3月3日、原油価格が1バレル116ドル台まで上昇。予断を許さない状況が続く。
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