■整備が完了するまで時間がかかる(場所を占有する)
ある程度、年数が経過したクルマのメンテナンスや修理、さらには車検を含めた法定点検のみで作業を終わらせられないこともしばしばだ。
取り寄せ、または交換する部品が多い、マニュアル通りとはいかず着脱にも気を遣う(経年劣化で勢いよく外すと割れたりすることもある)。
必然的にリフトを占有する時間も長くなる。1つの店舗に10基ものリフトがあるような大型のディーラーであれば、スペースにも多少の余裕があるだろう。
しかし、都市部など、限られた立地に店舗を構えるディーラーともなればリフトの台数も必然的に少なくなる。
入庫するたびに何十万もの整備費用をポンと支払ってくれるオーナーであればまだよいのだが、効率よく現場を回転させたいサービス部門にとっては、長い時間占有するクルマの存在は困りものというケースも少なくないのだ。
■製廃&欠品の部品があると整備できないケースも
トヨタを例に挙げると「あくまでも目安」としつつも、工場装着の部品の保有期間は約10年。そこから先は在庫のみとなる(メーカーや車種、部品によっては必要に応じて生産することもある)。
また、ディーラーオプションともなればモデルチェンジの時点で製造を打ち切るため、あとは各店舗やパーツセンターなどの在庫のみとなる。
その結果、先々代モデルともなれば、10年選手の個体も少なくないだろう。つまり、ちょうどメーカーが定義する部品の保有期間の目安ギリギリのラインだ。
部品によっては欠品が出始める頃かもしれない。そして厄介なのが製廃(製造廃止)だ。
サプライヤーが部品の金型を処分してしまったら、NISMOヘリテージパーツやマツダロードスターの部品の再生産といったごく限られた例外でもないかぎり、かなりの確率で新品の部品が生産される可能性は低い。
そうなると、ディーラーとしても「部品が生産終了しているので整備できません」と答えざるを得ない。その受け皿として、特定のモデルに精通した専門店が駆け込み寺となってくるわけだ。
■新車に代替えする可能性が低い
ディーラーにはさまざまな収益源がある。新車販売、点検整備などのサービス部門、純正部品、保険、ファイナンス・・・などなど多岐に渡る。
管理顧客としてがっちりユーザーを囲い込むには、今どきなら「新車を残価設定ローンで購入であり、さらに保険やコーティングなどの付帯品も一元管理」が理想的なユーザーだろう。
1台のクルマを、長く大切に使うこと自体は素晴らしい行為だというのは、ディーラー側にとってはあくまでも建前だ。
本音としてはあらゆる施策でユーザーを囲い込み、さらには定期的に新車に買い替えてくれるのが理想的だ。その期待が薄いユーザーともなれば・・・その本音は推して知るべしだろう。
ただし、例外はある。得意客のセカンドカーや、その親族が所有するクルマともなれば話は別だが・・・。
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