■車種ごとに価格差を調査!
ならばトヨタ スープラ(80系)はどうだろうか? モデル全体の流通量は2022年4月中旬現在55台ほどで、そのうち65%がMT車で、AT車が35%。スポーツモデルの割にはAT車比率もまあまあ高いと言えるだろう。
で、そんな80スープラの現在の相場は下記のとおりである。
【80系トヨタスープラ】
●全体(55台):350万~1180万円
●MT車(36台):360万~1180万円
●AT車(16台):350万~750万円
最高値の物件同士で比べたときの価格差は430万円と強烈にデカいが、これは鳥取県で販売されている(しかも高すぎてなかなか売れない)走行3.4万kmのワンオーナー車という特殊な個体によるもので、「一般的なスペックの80スープラ」に絞った場合の数字は、下記のとおりに変化する。
●一般的なスペックのMT車:370万~900万円
●一般的なスペックのAT車:370万~700万円
高値圏では約200万円の差があるため、「やはりAT車のほうが断然安い!」と言うことはできるだろう。だが同時に「AT車なのに700万円もする!」ともいえるわけで、ひと昔前のように「AT車であればけっこう安く狙える」とも言い切れない状況に変化しているのだ。ううむ。
■AT車を狙う意義は十分あり!!
さらに見てみよう。FS3Sこと最終型マツダRX-7である。モデル全体の流通量は108台となかなか豊富だが、そのうち99台はMT車で、AT車は9台しか流通していない。つまりFD3SのAT車比率は約8%と極端に低いのが現状だ。
それを踏まえたうえで、下記の数字を見ていただこう。
【マツダRX-7(FD3S)】
●全体(108台):270万~1410万円
●MT車(99台):350万~1410万円
●AT車(9台):270万~500万円
こればっかりはMT車とAT車の価格差はかなりデカそう。なにせ最高値同士で比べると900万円以上の差があるのだから。だが1410万円の最高値車と、そのすぐ下の「1180万円」が付けられている物件は人気限定車であるスピリットRの低走行物件であるため、やや特殊な存在および特殊な値付けであるといえる。
その2台を取っ払って数字を補正してみると、状況は下記のとおりに変わる。
●一般的なスペックのMT車:370万~770万円
●一般的なスペックのAT車:270万~470万円
最初に挙げた数字ほどではないが、MT車とAT車の価格差はそれでもけっこうデカい。FD3Sは、もしも「MTじゃなくてもいいかな?」と思えるのであれば、あえてAT車を狙ってみる意義はある選択肢と言えるだろう。
■輸入車のAT/MT価格差をみる
輸入車の絶版スポーツはどうなっているのだろうか? 代表的なところでドイツのポルシェ911(964型、1989~1993年)を見てみよう。
あまりにも高額なターボやRSを入れるとデータに「異常値」が発生してしまうため、最高出力250psの一般的な3.6L空冷フラットシックスを搭載した後輪駆動モデル「カレラ2」に絞った相場は下記のとおりである。
【ポルシェ 911カレラ2(タイプ964)】
●全体(51台):680万~1900万円
●MT車(22台):1000万~1900万円
●AT車(29台):680万~1600万円
これも、数字だけを見ていう分には「AT車のほうが断然お安い」という部類に入るクルマではあるだろう。なにせ最安値同士の場合で220万円、最高値同士でも300万円もの差があるのだから。
だが現実的な肌感覚に基づくのであれば、「AT(ティプトロニック)のカレラ2も鬼のように高くなってしまった!」と捉えるのが正解であるように思える。
筆者がティプトロニックの964型カレラ2を買った約10年前は、ごく一般的なコンディションのカレラ2ティプトロニック、つまり走行8万kmとか10万kmぐらいの中古車は、車両200万円台で普通に購入できた。
筆者が買った走行10万kmの1990年式も、ズバリ200万円だった。さらに状態が良い走行6万kmぐらいのカレラ2ティプトロニックでも、せいぜい300万円台か400万円台だったものだ。
しかし今、筆者が買ったような10万km級のカレラ2ティプトロニックでも700万円は下らず、よりスペックやコンディションが良好な個体は軽く1000万円を超える。
964型ポルシェ911カレラ2の場合、MT車よりもAT車のほうが断然安く買えるのは事実だ。しかしそれでも、おおむね700万~1000万円にまで上昇したATの964を「安い!」と評するには抵抗がある。
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