【ヴィッツ、セリカ、マークX…】勝ち組トヨタの負け組グルマたち

【ヴィッツ、セリカ、マークX…】勝ち組トヨタの負け組グルマたち

2008年、GMを抜いて初めて世界新車販売台数トップに立ったトヨタは、2012〜2015年には4年連続でトップに君臨。しかし、2016年、2017年にVWに首位を奪い返されている。

直近の2017年は、1位VWグループ(1074万1500台)、2位ルノー&日産&三菱グループ(1060万8366台)に次ぐ3位(1038万6000台)だが、各グループ間の差は数十万台レベルで、その差は少なく、再びトヨタが世界トップに返り咲く日も近い。

いっぽう、国内シェアは直近の2017年のデータを見ると、登録車に絞ればトヨタは55.8%、2位日産の13.5%、3位ホンダの13.4%。軽自動車を含めるとトヨタは30.7%でトップ、2位ホンダの13.3%、3位日産の10.2%。いずれも他社を圧倒する勝ち組だ。

日本ではプリウスとアクアが市場をけん引し、海外でもカムリやカローラは販売好調だ。C-HRなどのクロスオーバーも売れている。トヨタの強みは、ジャンルの隙間にバンバン新しいクルマを投入し、ブームを築いてしまうことである。

また、後出し作戦でライバルより魅力的なクルマを造るのも上手だ。が、すべてのクルマが売れているわけではない。ときには失敗作を送り出してしまうこともある。

販売が芳しくないクルマだったり、ちょっと期待はずれだったり、後になると違和感あった、と気づかされるクルマも存在する。自動車ジャーナリスト、片岡英明さんがそんなトヨタの負け組グルマたちを紹介する。

文/片岡英明

写真/ベストカー編集部


■トヨタ ヴィッツ(2012年12月〜)

2010年12月にデビューしたヴィッツ。写真は2017年1月のマイナーチェンジでエクステリアデザインが大幅に変更されたモデル

トヨタの最近のクルマで期待はずれだったのは現行モデルのヴィッツだ。21世紀のコンパクトファミリーカーを掲げて1999年1月にデビューし、現行モデルはその3代目になる。登場したのは2010年の12月だった。

コンパクトカーのなかでは知名度が高く、走りはそれなりに軽やかだし、キャビンも不満のない広さを確保するなど、日常の使い勝手のいいクルマに仕上がっている。燃費も悪くない。だが、ヒットした初代と2代目と比べると販売は伸び悩んだ。

登場から6年目でも月の販売台数は6000台レベルだから、ライバルメーカーなら成功の部類に入る。だが、先輩たちは5桁の販売台数をコンスタントに積み上げ、全盛期は2万台を売っていたのだから肩身が狭い。

トヨタセーフティセンスCや待望のハイブリッド車を投入して少しは上向いた。だが、かつてのような勢いはない。

理由はいくつか考えられる。デザインは凡庸だし、インテリアもチープだ。開発の初期にリーマンショックがあったからコスト低減も叫ばれた。

安っぽく見えたし、1Lモデルは燃費も今一歩だ。案の定、1年後にアクアが発売されると一気に販売は落ち込んでいる。

アクアやプリウスという身内の強敵に加え、長らくコンパクトカーの王座に君臨してきたフィット、そして最近ではノートe-POWERがベストセラーを記録するなど、下克上ともいえるコンパクトカーのジャンルというのはわかるが、次期モデルではもうちょっと頑張らないと……。

■トヨタ 2代目ラクティス(2010年11月〜2016年8月)

スバルとトヨタのアライアンスによってスバルと共同開発された2代目ラクティス。スバル版はトレジアだった

ハイト系コンパクトワゴンのラクティスも2代目で失速した。ラクティスが誕生したのは2005年10月だ。ファンカーゴの事実上の後継モデルで、2代目ヴィッツのプラットフォームを用い、ホイールベースを延ばした。

月間の販売目標は7000台と強気だったから不安視する首脳陣もいたが、最初の1カ月で目標の3倍の2万台オーバーの販売を記録している。その後も安定して売れ続けた。

2代目はキープコンセプトで2010年11月に登場している。機能的な設計によって使い勝手はよくなった。だから滑り出しは好調だったが、すぐに販売は頭打ちになっている。

登場から3年後に10年も販売を続けているシエンタと同等の1500台レベルになり、5年後には月1000台を割るようになった。

またスバルとのアライアンスで、スバルへのOEM車としてトレジアが発売された。スバルから100人規模の開発陣が開発に参加したというのも、なんとも残念な話だ。

基本設計の古いプレミオ/アリオンにも負けてしまうほど販売は落ち込んでしまったのだ。身内にプリウスαやシエンタ、カローラフィールダーなどの強敵がいるし、ハイブリッド車も用意していないからユーザーの目は厳しかった。

結局、2016年5月にはOEM車のトレジアに続いて、ラクティスも2016年8月に生産終了した。

次ページは : ■トヨタ iQ(2008年11月〜2016年4月)

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