10年前から激変!? N-BOXとアルトにみる軽自動車の進化&全方位検証 10選

燃費性能&先進安全装備が大幅にバージョンアップ!! 気になる価格の変化はいかに

比較4:動力性能とエンジンフィーリング

 エンジンは進化しているが、後述する燃費性能の向上が大きい。動力性能はあまり変わっていない。

 例えばノーマルエンジンを搭載する先代N-BOXのG・Lパッケージは、最高出力が58馬力(7300回転)、最大トルクは6.6kg-m(3500回転)だった。現行N-BOXのLは、58馬力(7300回転)、6.6kg-m(4800回転)だ。

 新旧N-BOXを比べると、数値は同等だが、最大トルクの発生回転数は現行型で上昇しており、実用回転域の駆動力が数値上は少し悪化している。

 そのいっぽうで車両重量は、先代型のG・Lパッケージは930kg、現行型のLは900kgと若干軽い。アルトも含めて、動力性能は先代型と同程度だ。

*変化度数:5点

比較5:走行安定性と操舵感覚

プラットフォームを一新し、乗り心地と走りの質感を高めた現行型N-BOX
プラットフォームを一新し、乗り心地と走りの質感を高めた現行型N-BOX

 走行安定性と操舵感覚は、プラットフォームや足まわりの刷新によって向上した。N-BOXは、先代型は操舵感が鈍めで峠道などを走ると曲がりにくい印象だったが、現行型では違和感が薄れた。先に述べた通り、高いコストを費やして開発したことも影響している。走りが全般的に上質になった。

 アルトは2世代前と現行型の比較だから、運転感覚がかなり違う。2世代前はホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2400mmだったが、2014年に登場した先代型から2460mmに拡大され、プラットフォーム(車台)も刷新している。

 現行アルトではチューニングをさらに見直して、タイヤをワゴンRスマイルと同じタイプに改めたから、走行安定性が一層向上した。この2車種を始めとして、近年の軽自動車は、安全性を左右する走行安定性を大幅に高めている。

*変化度数:8点

比較6:乗り心地&静粛性

 N-BOXの現行型は、前述のとおり高いコストを費やして開発された。プラットフォームを刷新してボディ剛性も高め、上質な素材を使っている。そのために10年前の先代型に比べると、乗り心地は走行安定性以上に向上した。遮音も入念に行われ、ノイズも低減されている。快適性は小型車と同等だ。

 アルトも2世代前に比べると、走行安定性と併せて乗り心地を向上させた。2013年に追加された2世代前のアルトエコは、転がり抵抗を抑えたタイヤを装着して、指定空気圧は300kPaに達していた。足まわりのコスト低減もあり、乗り心地が粗く、グリップ性能も悪かった。それが現行型はかなり快適になっている。

*変化度数:9点

比較7:安全装備と運転支援機能

 現在と10年前のクルマを比べて、最も進歩した分野が安全装備と運転支援機能だ。N-BOXの場合、 約10年前に発売された時点では、横滑り防止装置、4輪ABS、運転席&助手席エアバッグは標準装着されていたが、衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能は採用されていなかった。2013年に赤外線レーザーを使った低速用の衝突被害軽減ブレーキと、サイド&カーテンエアバッグを採用している。

 それが現行N-BOXには、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、車間距離を自動制御できる全車速追従型クルーズコントロールなど、さまざまな安全装備が標準装着されている。

 10年前のアルトは、装備がさらにシンプルだったが、現行型には衝突被害軽減ブレーキ、後退時ブレーキサポート、サイド&カーテンエアバッグなどが標準装着される。

*変化度数:10点

比較8:燃費性能

 先代N-B0Xが登場したときのJC08モード燃費は22.2km/Lだった。それが現行型は27km/L(WLTCモード燃費は21.2km/L)に向上している。先代型から現行型に乗り替えると、燃費数値上は燃料代を18%節約できる。

 10年前に販売されていたアルトエコSは、JC08モード燃費が30.2km/Lで、現行型のハイブリッドSは33.1km/L(WLTCモード燃費は27.7km/L)だから、約9%の節約が可能だ。

*変化度数:9点

比較9:価格の割安感

 消費税率は、10年前の時点では5%だった。それが2014年に8%、2019年には10%へ高まっている。クルマの価格が高く感じられるのは、そこに含まれる消費増税によるところも大きい。

 そこまで含めて比べると、2011年に発売された先代N-BOX・G・Lパッケージは134万円であった。現行型のN-BOX・Lは157万9600円だ。仮に先代型の時点で消費税が10%なら140万3810円になる。

 それでも現行型は約17万円高いが、安全装備や運転支援機能の充実を考えると、むしろ割安になった。衝突被害軽減ブレーキとサイド&カーテンエアバッグの上乗せだけで、17万円の差額が埋まるからだ。アルトも同様で、装備の向上と消費税の切り上げを考慮すると、現行型が割安になる。

*変化度数:7点

比較10:税額

 前述のとおり10年前の消費税率は5%だったが、今は10%に増えた。毎年納める自動車税も、10年前は自家用軽乗用車が年額7200円だったが、2015年4月1日以降の届け出では1万800円に値上げされている。

 また今では、初度届け出から13年を経過すると、軽自動車税が年額1万2900円に高まる。自動車重量税も通常の2年分は6600円だが、13年を超過すると8200円、18年は8800円になる。軽自動車の税制は悪化した。

*変化度数:0点

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