おっさんリターンライダー急増中! ダックス GB350 ホーク11……久しぶりに乗るバイクはどれがいい?

■免許を取りたい女性も急増、教習所も大混雑

 また、リターンライダーだけではなく、新たにバイクの免許を取る人も増えている。いわゆる「中免」、つまり400ccまでのバイクに乗れる免許を新たに取得した人は、2018年から2021年までの3年間に12%増加。絶対数こそ少ないものの、大型二輪免許を取る人も再び増えてきている状況だ。

2018年まで減少傾向が続いた二輪免許の新規交付件数も、2019年から一転して増加傾向が続いている。出典:警察庁交通局「運転免許統計令和3年版」より柳川氏作成
2018年まで減少傾向が続いた二輪免許の新規交付件数も、2019年から一転して増加傾向が続いている。出典:警察庁交通局「運転免許統計令和3年版」より柳川氏作成

 コロナ以前だと、会社勤めをしていると、平日に教習所でバイクの技能教習を受けるのは相当難しかった。仕事着や革靴のままで教習に行くわけにもいかず、着替えやヘルメット、グローブも持参するとなると、土日などの休日に通わざるを得ない。だが在宅勤務の広がりで、平日にサクッと教習に行くことも可能になった。そのせいで免許を取る人が増えた一面もあるだろう。

 また今回の「コロナバイクブーム(?)」がこれまでと大きく違う点が一つある。それは、バイクの免許を取得する女性が急増していることだ。直近の3年間では男性の免許取得者の伸びが+7.6%なのに対し、女性は+32.0%。

新たにバイクの免許を取る女性の比率が凄まじい勢いで伸びてきている。出典:警察庁交通局「運転免許統計令和3年版」より柳川氏作成
新たにバイクの免許を取る女性の比率が凄まじい勢いで伸びてきている。出典:警察庁交通局「運転免許統計令和3年版」より柳川氏作成

 エンジンの電子制御、ABSなどの安全装備の進化による交通事故の減少や、輸入車のディーラーのように高級感のある販売店の増加などで、「バイクはうるさく、臭く、危ない」というネガティブな印象を持つ人が減った、ということも女性の免許取得者が増えた理由のようだ。

 レストランなどの飲食店でも、ゴルフなどのスポーツでも、女性の割合が高くなると結果的に男性も増えて、ビジネスが好回転し始めるというのはよく知られた事実。今回のブームは一過性のものでは終わらないのではないか。

 私が卒業した都心の自動車教習所に、自動二輪車教習の状況を聞いてみた。

「教習を始める前に適性検査を受けていただく必要があるのですが、それが現在1ヶ月待ちで6月からのご案内となり、そこから予約可能な技能教習も混み合っておりまして、現在普通自動車免許をお持ちの方でも、最短の卒業で3ヶ月半はみておいていただく必要がございます」、とのことだった。

■リターンライダーのバイク選びで考えるべきポイントとは?

 筆者もまさに1970年代に生まれ、高校時代はバイクマンガ「バリバリ伝説」にハマり、友人たちがホンダNSR250Rやヤマハの後方排気のTZR250など、今やお宝となった2ストロークのレーサーレプリカに乗っているのを羨ましくみていた口だった。

 1浪して大学に入学した夏に、中・高ずっと一緒だった親友が、塾講師のバイトに向かって原付バイクに乗っていてコンクリートミキサーの後輪に巻き込まれて亡くなり、それ以来バイクからは距離を置いていた。だが、バイクのことがずっと頭を離れず、2007年に普通自動二輪免許を、連続して大型二輪免許を取得し、念願のバイクオーナーになった。初めて自分で買ったバイクはMVアグスタのブルターレ910R。

わずかに手首に力を入れただけでもウイリーしそうになるぐらいアグレッシブな味付けのバイクで、筆者が何度も(物理的に)痛い目にあったMVアグスタブルターレ910R
わずかに手首に力を入れただけでもウイリーしそうになるぐらいアグレッシブな味付けのバイクで、筆者が何度も(物理的に)痛い目にあったMVアグスタブルターレ910R

 わずかに右手首に力を入れただけで振り落とされそうになるような、とてつもない暴れ馬で、冬の環八の陸橋のジョイント部分で不用意にアクセル開けたら滑って転んで膝を5針縫ったり、秋の日光に走りに行ったら雨が降ってきてタイトなコーナーでフロントブレーキかけすぎてコケたり、伊豆スカイラインの中速コーナーで曲がりきれずに側溝に落ちそうになったりと、リターンライダーにもありがちなことを一通り経験いたしました。

 2018年に「このまま何もせずに歳をとっていくと、目も悪くなり、体力も反射神経もなくなるので、一生のうちに一度は世界最高峰のスーパースポーツバイクに乗っておきたい」との思いからヤマハのYZF-R1に乗り換えた。

 アクセルを不用意に開けたら本当に目が回るぐらいの圧倒的な加速性能と、ガツンとブレーキかけても不安にならない接地感の良さをフルに活かせているとはとても言えないが、大きな怪我もなく、伊豆スカイラインや箱根ターンパイクではガチのバイク勢に煽られながら、ほぼ実用性のないバイクで幸せにバイクライフを過ごしている。

バイクはクルマと全く別次元の解放感を楽しみ、日本の四季を身体で味わうことができる
バイクはクルマと全く別次元の解放感を楽しみ、日本の四季を身体で味わうことができる

 そんな筆者から、これからリターンライダーを目指す方へのアドバイスは、筆者のようにいきなり大きなバイクではなく、乗って楽しく、それなりに実用性もある小さめのバイクからスタートすること。

 あまり認めたくはないが、我々オヤジ世代は、運動会の徒競走で転んでしまうように、自分の頭でイメージした通りに身体を動かす能力が低下している。かつてバイクに乗られていた方ほど、昔のイメージと自分が今できることには結構な差ができている可能性が高い。

 釈迦に説法かもしれないが、バイクは力が抜けていないと曲がらない乗り物だ。昔と同じ感覚でコーナーに飛び込んで「あれ、なんか違う」と感じて身体がこわばりセルフステアを邪魔したり、緊急回避のフルブレーキやシフトダウン操作ができなかったら大事故につながる。

 まずは復活の第一歩として、非力かもしれないが楽しい、軽排気量のバイクからステップアップして、最終的に自分が夢見ていたバイクにいくのがいいのではないかと思う。

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