フィアット500eとホンダeの売れ行きに大差! 要因はデザインにあり?

ホンダeの10倍以上売れているフィアット500eの魅力

フィアット500の次世代モデルとして登場した「フィアット500e」。6月25日から日本でも販売が開始される
フィアット500の次世代モデルとして登場した「フィアット500e」。6月25日から日本でも販売が開始される

 ホンダeは、ホンダN360をリバイバルさせたような丸目と、シンプルで美しいフォルムを持つRRレイアウトの EVで、デザインの評価は極めて高い。私もデザイン的には、ホンダ史上最高傑作ではないかとすら思っている。しかし、市場の反応は非常に鈍く、デザインの力で航続距離や価格の壁を打ち破ることができていない。

 そこで注目したいのは、同じEVのフィアット500eだ。先日、日本への導入も開始された500eは、バッテリー容量42kWと、ホンダeの35.5kWよりやや大きいが、基本的にはシティビークルだ。2ドアボディのレトロカーゆえ、後席やラゲージははるかに狭い。総合的に見て、ホンダe以上に機能を割り切ったクルマだ。

 ところが売れ行きは好調で、2021年は欧州EV販売ランキングの第7位に入った。2022年に入ってからはさらに伸びており、第3位に躍進している。

 日本国内での販売台数は、輸出割り当て台数次第なのでなんとも言えないが、ヘタするとホンダeよりも売れてしまうかもしれない。そう予感させるのは、あまりにもデザインが魅力的だからである。

 ガソリン車のフィアット500のデザインも、1950年代生まれのヌオーバ500をうまく現代によみがえらせていてステキだが、500eはそれをベースに、どこから見ても未来的なイメージに仕上げている。レトロだけど未来的なのだ。

 それを象徴するのがヘッドライトだ。縁取りの「丸目」は変形させつつしっかり残し、その中央に小さなLEDランプ(ハロゲンランプのグレードもアリ)を入れることで、レトロモダンならぬレトロ未来を見事に表現している。

 500eは、フォルムも素晴らしい。ヌオーバ500はリヤエンジン車だったが、現行500はそれをFFで再現したため多少の無理があり、微妙なバランスの狂いがあった。いっぽう500eは、フロントをモーターで駆動するという意味ではFFのままだが、モーターはガソリンエンジンよりはるかにコンパクトだし、ラジエターも必要ない。

 おかげで現行500よりもフロントオーバーハングが短く、より元祖に近い、バランスのいいフォルムを実現できている。パッと見た瞬間に誰もが引き込まれてしまうデザインは、現行500よりさらに魅力的だ。

 このデザインの魅力は、すべてのEVの中でも圧倒的。実用性能はさておいても、とにかくこのクルマが欲しい! と思わせてしまう。

 欧州でのホンダeとの販売台数の差は、2021年で10倍以上。2022年に入ってからはさらに開いており、比べるのもはばかられる。

 その裏には、当然価格もある。ドイツでの価格を比較すると、500eが3万550ユーロ(400万円台前半)なのに対して、ホンダeは3万3850ユーロ(400万円台後半)。急激な円安で、円換算価格が急上昇してしまいましたが……。

 しかしそのハンデに関しては、マツダMX-30 EVも同じ。ホンダeとMX-30 EVの比較において、欧州人たちは後者に軍配を上げている。理由はデザイン以外に考えられない。

 MX-30のデザインは、日本ではまったく不評だが、欧州では流行りのスタイリッシュなSUVということで、それなりの評価を受けている。

 欧州ではもともとEVはセカンドカーや通勤用と割り切られている部分があるから、観音開きドアで後席の乗降がしずらいMX-30 EVや、2ドアや2+1ドア(右側のみリヤドアあり/日本導入予定なし)の500eでも、大きな問題にはならないようだ。

次ページは : 500eのデザインにあって、ホンダeにないものとは?

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