■ハイゼットトラック&キャリイを比較する:荷台と室内
そこでハイゼットトラックとキャリイを比べたい。軽トラックで最も重視される荷台のサイズは、標準ボディの場合、両車ともに荷台長が1940mmで荷台幅は1410mmだから差は生じない。
しかし居住空間の上側を拡大したハイゼットトラックジャンボは、荷台長が1650mmで、荷台幅は1410mmだ。キャリイにも居住空間を広げたスーパーキャリイが用意され、荷台長は1480mmと短く、荷台幅は1410mmで等しい。
スーパーキャリイの荷台長は、ハイゼットトラックジャンボに比べて170mm短いが、シートの後部に設置された収納スペースの奥行は250mmだ。ハイゼットトラックジャンボの175mmを75mm上まわり、車内も開放的に仕上げた。
トラックの標準ボディ同士で居住空間の広さを比べると、両車とも同程度だ。標準ボディのヘッドレストは両車ともに固定され、ステアリングホイールとシートとの間隔もほぼ等しい。シートの座面の奥行寸法は、両車ともに440~460mmだ。
ただし乗降性は異なる。ドアを開いて、足が通る部分(ホイールハウスの前端とドア開口部の前端)を測ると、ハイゼットトラックは180mmだが、キャリイは230mmの余裕がある。
そのためにキャリイは、ハイゼットトラックに比べると、乗降時に足をスムーズに動かせて引っ掛かりにくい。軽トラックは前述の通り農業に多く使われ、作業中には乗り降りを頻繁に繰り返す。安全上は好ましくないが、長靴で運転することもある。乗降性は大切な機能で、この点はキャリイが優れている。
■ハイゼットトラック&キャリイを比較する:動力性能と安全装備
動力性能は、ハイゼットトラックが最高出力46ps/5700rpm、最大トルク6.1kgm/4000rpmになる。キャリイは50ps/6200rpm、6.0kgm/3500rpmだ。車両重量は、標準ボディ(2WD/AT)の場合、ハイゼットトラックが790~810kg、キャリイは750kgになる。
キャリイはハイゼットトラックよりも最高出力が高く、最大トルクは少し低いが、発生回転数を実用域に設定した。加えてボディが軽い。
そのためにキャリイは、荷物を積んでいない状態では加速が活発に感じるが、ハイゼットトラックはCVTの採用で加速が滑らかだ。CVTにはエンジンパワーを有効活用できるメリットもあり、両車の走りを比べると、ハイゼットトラックが上質に感じる。
WLTCモード燃費は、ハイゼットトラック(2WD/AT)が16.5km/L、キャリイは15.7km/Lになる。ハイゼットトラックのATはCVT、キャリイは4速ATだから、前者が優れた性能を発揮する。
衝突被害軽減ブレーキは、両車とも2個のカメラをセンサーとして使う。ハイゼットトラックのスマートアシストは、マイナーチェンジで機能を進化させた。キャリイのデュアルカメラブレーキサポートが検知するのは車両と歩行者だが、ハイゼットトラックは、自転車の検知も可能だ。
ペダルを踏み間違えた時の衝突事故を防ぐ誤発進抑制機能も、ハイゼットトラックは前進、後退ともにブレーキを併用するが、キャリイはエンジン出力を絞る機能のみだ。安全装備はハイゼットトラックが進んでいる。
以上のようにハイゼットトラックは、動力性能と燃費をCVTの搭載によって進化させ、安全装備も先進的だ。
価格(2WD/AT)は、ハイゼットトラック・エクストラが118万8000円、キャリイ・KXは118万1400円と互角になる。互いにライバル同士だから、価格競争も激しく、装備と価格のバランスはほぼ等しい。
近々の販売台数を見ると2022年3月はキャリイトラックが6275台、ハイゼットトラックが7587台、4月はキャリイトラックが3737台、ハイゼットトラックが7232台。2022年1~4月の累計販売台数はキャリイトラックが1万9332台、ハイゼットトラックが3万147台。販売台数から見るユーザーの判定はハイゼットトラックに軍配が上がっている。
軽商用車らしからぬ装備と2個のカメラを搭載した進化版スマートアシスト、CVT新搭載のハイゼットトラック、方やデュアルカメラサポートを搭載し、4AT新搭載のキャリイトラック。CVTか4ATかに使う人の取捨選択になってくるかもしれない。
いずれにしてもこの2車が切磋琢磨して今後日本の軽トラック市場を盛り上げていってくれることだろう。
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