■内装のデザイン/質感/視認性/操作性比較
ライズはトヨタ車だが、開発と生産はダイハツが受け持つ。プラットフォームを含めて、設計は大幅に異なるが、インパネなどのレイアウトは両車ともに似ている。内装の質は満足できて、メーターも見やすく、スイッチ類は扱いやすい。
●勝敗:引き分け
■前後席の居住性比較
前席のサイズは両車とも同程度だが、座り心地はライズのボリューム感が少し強めで快適だ。
後席の足元空間は、両車とも同程度。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には、握りコブシ1つ少々の余裕がある。SUVでは狭めだが、コンパクトなサイズを考えれば納得できる。大人4名の乗車も可能だ。後席の居住性は、両車ともに同程度だが、前席はライズが少し勝る。
●勝敗:ライズの勝ち
■荷室/シートアレンジ/収納設備比較
ヤリスクロスはリヤゲートを寝かせたので、背の高い荷物を積みにくいが、荷室長(荷室の奥行寸法)はライズよりも長い。後席を使っている状態で820mmを確保した。ライズは全長が短く、荷室長も755mmに留まる。収納設備は両車とも充実しており、実用上は十分だ。
●勝敗:ヤリスクロスの勝ち
■動力性能&加速フィーリング比較
ヤリスクロスのハイブリッドは、THS IIと呼ばれるタイプで、直列3気筒1.5Lエンジンとモーターが両方とも駆動を担当する。発電機も搭載するから、エンジンの力で発電して、その電気を使ってモーターを駆動することもある。
ライズは、eスマートハイブリッドを搭載する。機能は日産のe-POWERに似ており、直列3気筒1.2Lエンジンが発電機を作動させ、モーターがホイールを駆動する。エンジンがホイールを直接駆動する制御はない。
ライズのハイブリッドは、前述の通り価格が安く、コストを重視して開発された。そのためにエンジンを停止させ、モーターだけで走る時間は短い。登坂路などでは、発電量を増やすためにエンジン回転が高まり、3気筒特有の粗いノイズを響かせる。
動力性能は両車ともコンパクトSUVとして十分に確保したが、ノイズはヤリスクロスが小さく、運転感覚が洗練されている。
またライズはコスト低減のために、ハイブリッドシステムとブレーキペダルを協調させていない。ヤリスクロスでは、ブレーキペダルを踏むと減速エネルギーを使った発電量が増えて駆動用電池に蓄えるが、ライズにこの機能はない。
従ってライズで燃料消費量を節約するには、アクセルペダルを戻すと同時に、強めの減速力が生じる「Sペダル」を使う必要がある。購入時には、販売店の試乗車を使って「Sペダル」を作動させ、走りに違和感が生じないかを確認したい。
●勝敗:ヤリスクロスの勝ち
■走行安定性&操舵フィーリング比較
ヤリスクロスは全幅が1765mmとワイドで、トレッド(左右のホイールの間隔)もライズに比べると40mmほど広く、直進安定性が優れている。走行安定性や操舵に対する反応も、おおむね良好だ。
ライズはマイナーチェンジで改善されたが、今でも操舵した時の反応が少し鈍い。カーブを曲がっている時に、ステアリングが直進状態に戻ろうとする力も弱めだ。危険を避ける時の安定性などに大差はないが、運転感覚はヤリスクロスが洗練されている。
●勝敗:ヤリスクロスの勝ち
■乗り心地比較
ヤリスクロスZは18インチタイヤを装着することもあり、乗り心地は少し硬い。時速50km以下では路上の細かなデコボコを伝えやすく、上下に揺すられる動きも生じやすい。
その点でライズZは、少し柔軟に仕上げた。重厚感は乏しいが、馴染みやすい乗り心地だ。
●勝敗:ライズの勝ち
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