■海外ではすでに値上げも……日本市場も時間の問題か
いずれにしても先ゆきが不透明で、ウクライナ問題やサプライチェーンの混乱がさらに悪化して、予想以上に原材料価格が高騰する可能性もある。その負担を取り戻すために考えられる手段が車両価格の値上げだ。
すでに、海外では値上げに動いている。例えば、インドでは今春からSUVなどを4%ほど値上げしている。また、米国でも主力車種のカムリやSUVのRAV4のホームページ上の希望小売価格が1年前よりも3~4%上がっている。
ただ、日本市場での値上げについては成長が足踏みしている地域ということで慎重な姿勢だ。「日常の足として使っているお客もいる。資材が上がったということで価格を上げるのは難しい問題だと思っている。どこで値上げができるかよく見て決めていきたい」と長田COOは話す。しかし、クルマによっては値上げする可能性も示唆した。
■クルマ値上げの地盤固めはすでにできている?
おそらく価格の高いクルマや人気の高いSUVから値上げをしていき、徐々に価格の安いコンパクトカーへと値上げを浸透させていくことになるだろう。いつまでも部品会社にコストダウンを要求して、安いクルマを販売し続けるわけにはいかないだろう。
そうしていたことを続けてきたことが、日本経済がこの20年間ほとんど成長しなかった要因のひとつになっているのだ。例えば、日本のひとり当たりのGDP(国内総生産)は2000年の3万8534ドルから2020年の4万89ドルという具合にほとんど変わらない。3万6433ドルから6万3358ドルと大きく成長した米国とは大違いだ。日本のランキングも2位から24位へと大きく順位を下げている。
日本自動車工業会の会長でもある豊田章男社長は、先日の定例会見で、「自動車産業は岸田政権が掲げる『成長と分配』の原動力になれる」と語り、「この春の労使協議では、自工会各社が中心となり、賃上げの流れを生み出すことができたと思う。ただ、自動車産業のなかで交渉のテーブルにつける人は3割に過ぎない。組合組織がない7割の人たちにこの流れをつなげていくことが大切だ」と強調した。日本でナンバーワンの企業であるトヨタには、日本を再び成長軌道に乗せる役目があるのだ。
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