アイオニック5は意外とお手ごろ価格? ネット一括でワクワクな体験ができる!!
販売はすべてオンラインとなる。販売店網を持たないのだから当然だろう。そして、既存の自動車メーカーも、EV導入に合わせてオンライン受注の模索をはじめている。
支払方法に、残価設定による分割や、均等支払いのサブスクリプションが浸透しだしているが、その利点は、個別の値引き交渉をせずに済むことだ。したがって、すべての顧客に均等な条件での販売が可能になり、自動車メーカー側も収益の見通しを立てやすくなる。
販売奨励金などのような手数料を考えず車両価格を設定できるので、より適正な価格での販売になり、それはまた消費者にも、損のない買い物となる可能性を生み出す。
消費者にとっては、サブスクリプションや残価設定分割払いであれば、過去数十年所得が伸びない現代社会において、暮らしのなかでの金銭のやりくりを検討しやすくする。もちろん、分割や均等支払いでなく、現金一括購入という方法もある。
IONIQ5も、現金またはクレジットカード、分割払い、リースの選択肢を設け、対応している。ネット上での詳細見積もりに加え、購入相談の申し込みや、試乗(1時間から1時間半)の予約、そのうえでの注文という段階を踏んだ手続きが可能だ。
IONIQ5を体験するという点では、注文手続きの流れのなかで申し込めるほか、個人が所有するクルマを個別に借りて運転するAnyca(エニカ)と呼ばれるサービスが2015年からDeNA SOMPO Mobilityによってはじめられており、そこにIONIQ5も加わった。個人ではなくエニカが所有するIONIQ5をカーシェアリングの要領で試乗体験できるのだ。開始以来、途切れることなく試乗依頼が入っているとヒョンデはいう。
エニカによれば、15年以来の利用者の約6割が20歳代で、そのうち85%が体験をきっかけにクルマを持ってみたいという気持ちになっているとのことだ。すなわち、12年前に日本に上陸した際のヒョンデのことを知らない世代が、エニカを通じてIONIQ5の存在を知り、持ってみたい思いに駆られる可能性がある。
ネット販売や、カーシェアリングを通じた接点の摸索というヒョンデの施策は、これから花開くであろうEV時代をけん引するより若い世代との出会いや親和性を秘めた戦略ということができるのではないか。実際、IONIQ5購入の年齢層は、30~50歳代と幅広いようだ。
それでも、IONIQ5が商品として魅力が不足すれば、拡販への期待は薄れてしまう。その点については、試乗をするほどに魅了される魅力をIONIQ5は備えていると感じている。
まず販売価格は、479万~589万円で、近年のEVのSUV(スポーツ多目的車)の価格帯にそった設定だ。このうち、廉価な479万円は車載バッテリー容量がやや少ない58kWhであり、より容量が大きい72.6kWhになると519万円からとなる。それでも、もっとも廉価な車種でも一充電走行距離はWLTCで498kmである。
具体的に競合他社の値段を見ていくと、日産アリアは539万円から790万円で、バッテリー容量は66kWhと91kWhの2種類だ。66kWhの2WDで、一充電走行距離はWLTCで470kmである。
トヨタ初のEVであるbZ4Xは、600万~650万円で、車種は一種類のみだが2WDか4WDの違いがある。バッテリー容量は71.4kWhで、一充電走行距離はWLTCで559kmである。
こうしてみると、IONIQ5がかなり手ごろな価格設定であることがわかる。そしてバッテリー容量が少ない廉価な仕様でも、一充電走行距離がWLTCで498kmあれば、通常の用途で充分に安心して使える距離だ。
そのうえで、IONIQ5の廉価な車種は2WDなのだが、アリアやbZ4Xが前輪駆動(FWD)であるのに対し、IONIQ5は後輪駆動(RWD)である。FWDかRWDであるかが、通常の運転ではそれほど大きな差はないにしても、RWDの運転感覚はより自然で心躍らせるものがあるのは事実だろう。
以上を総合すると、かつての経験を踏まえたうえで、EVに的を絞るかたちで日本市場に再上陸したヒョンデのIONIQ5は、EVの購入を真剣に考える人にとって大きな選択肢となる素養を備えていると思う。実際、試乗をした感触においても、気持ちをそそる魅力を備えていた。
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