新型フェアレディZは406psを搾りだす!! パンチ力が強烈だったかつてのハイパワーFR車4選

■アメリカンマッスルここに! 「シボレー コルベット」

 一方で輸入車にも目を向けると、真っ先に思い浮かんだのは、シボレー C6コルベットのモデル名に「Z」のつく速い系だ。個人的にも大好きなコルベットには、C4以降の大半のモデルに乗ったことがあるが、中でもとくに印象に残っているのが、C6のZO6とZR1だ。

レースフィールドで培った技術を惜しげもなく投入した、シボレーコルベット Z06
レースフィールドで培った技術を惜しげもなく投入した、シボレーコルベット Z06

 標準モデルが6.0リッターで404ps、55.6㎏mのところ、7.0リッターに拡大され、ル・マンを戦ったレーシングカーの技術を盛り込んだ特別なV8を積むZ06は511psと64.9㎏mを、さらに6.2リッターV8にスーパーチャージャーを搭載した最強版のZR1は、当時としては異例の648psと83.50kgmというとてつもないスペックを誇った。

 実のところC6について、最初は否定的な気持ちが強かった。あんなに似合っていたリトラクタブルヘッドライトをやめたことにもガッカリした上に、全長が短くなったのにホイールベースが長くなって見た目のバランス的にもC5のほうがカッコよかったな~と感じていたからだ。

 ところが、「Z」のつく特別版になるとぜんぜん雰囲気が違って、ワイドボディにするとC6のプロポーションが絶妙によく似合う。

 走りのほうも、いざ乗ってみてシビレた! 7.0リッターもの大排気量のV8が、VTECのように軽々と吹け上がるZ06の走りっぷりにホレボレ! それはもう気持ちイイのなんの。コーナリングもワイドトレッドとファットなタイヤが効いて、まさしく地を這うように安定して走れたことも印象的だった。

 それから約2年後に登場したZR1は、さらにスゴかった。ただでさえ大排気量でパワフルなV8に、スーパーチャージャーをドッキングしたのだから、その速さたるや、圧倒的という言葉がピッタリ! 恐るべき加速力だ。でも、個人的には自然吸気ならではの吹け上がりが美味しいZO6のほうが好みだったかも……。

 C7にもZR1は存在したものの日本には正規輸入されなかったので、ドライブしたことはないのだが、C6のZR1をはるかにしのぐ766psを発揮したというから、さぞかし凄かったことだろう。乗ってみたかったな~…。

■もりもりトルクで車体を押し出す! 「アルピナ B8 4.6」

 そして、最近では高性能版のxDrive(AWD)が当たり前になってきたけれど、FRといえばBMWに触れないワケにはいくまい。BMW車については、プライベートで所有したクルマを含め、これまで数々のモデルをドライブする機会に恵まれてきたのだが、もっとも印象に残っているのはズバリ、アルピナのB8 4.6だ。

ベースモデルにさまざまな改良を施してV8をねじ込んだ、アルピナ B8 4.6
ベースモデルにさまざまな改良を施してV8をねじ込んだ、アルピナ B8 4.6

 ご存じない方も多いだろうが、ざっくりいうと、E36型3シリーズに5シリーズ用のV8をブチ込んだというクルマだ。

 アルピナがチューニングしたV8の333psで48.0㎏mというスペックは、いまの時代では驚くほどの数字ではないとはいえ、下からモリモリとトルクがわきあがり、E36のコンパクトな車体をグッと力強く押し出す感覚は、ほかでは味わったことのないもの。E36なのにV8サウンドというギャップも新鮮だった。

 しかも、足まわりがしなやかで乗り心地がよく、極めて上質なドライブフィールに仕上がっていることにも感心したものだ。アルピナが身上としている、快適性を損なうことなく目的地までもっとも短時間で到着できるクルマを提供するというコンセプトが息づいていることがうかがえた。

 全生産台数はクーペとリムジンをあわせて200台あまりで、日本に上陸したのは30台あまり。中でもクーペはわずか数台とか。そんな貴重なクルマに乗れたのは幸運だったと思う。

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