■電子カタログも日々進化 紙ではできない演出も
さらには、電子カタログの機能が段々と充実している点にも注目したい。
レクサスディーラーでは、「魅せる電子カタログ」が広がりつつある。レクサスのショールームには大きなスクリーンがあり、そこに投影されているのは車両のプロモーションビデオだ。しかし、商談になると巨大スクリーンが電子カタログに変わる。
大型スクリーンに希望車種の3Dモデルが映し出されて、ボディカラーやエクステリアパーツの装着イメージを映し出す。
また、エンジン音やドアの開閉音など、音に関してもさまざまなデータを持っており、その場で聞くことが可能だ。
巨大スクリーンにほぼ実寸大で映し出される車両モデルがあることで、展示車両に希望のボディカラーがなかったり、希望の車種が置かれていなかったりした場合でも、目の前に検討中のクルマがあるような疑似体験ができる。
展示車と同じように詳細な部分までチェックすることができるのだ。
紙カタログから電子カタログ、そして今は好きなように組み替えて、動かすことができるカタログに進化した。
いよいよ、紙カタログの役割も終わりなのだろう。
■販売店業務に影響はないのか
1冊あたり数百円から数千円するクルマのカタログ。
販売店では、カタログをメーカーから有料で仕入れ、ユーザーへ無料配布している。紙カタログが廃止されることで、販売店が負担していた費用は削減されるだろう。
しかし、これまで当たり前のようにあった紙カタログが廃止されると、少なからず販売現場には影響が出てくるはずだ。実際に現場の声を聞いてみた。
中堅からベテラン営業マンのなかでは、「紙カタログがパッと見られなくなるのは、ちょっと厳しい。商談や説明のリズムも変わる」と、紙カタログへのこだわりを感じさせる声が多かった。
対して若手の営業マンは、紙カタログの廃止はさほど気にならないようだ。
「現在も、お客様からオーダーがあれば紙カタログを使うが、ほとんどはタブレットですませてしまうことが多い。廃止になっても、普段どおりに活動するだけ」と、反応は大きく分かれた。
■カタログ電子化には賛成 だが対策が必要な部分も
筆者個人としても、現役営業マン時代の後半は電子カタログを積極的に利用していた側なだけに、紙カタログが廃止されてもその影響は限定的なものだと考える。
しかし、PDFでは探している項目が延々と見つからないことも多い。
必要な情報を「探す」時や「覚える」際には、タブレット画面よりも紙をめくるほうが見つけやすいし、頭に入りやすいと思う。
電子化には賛成するが、システム障害などが起きた時に、どう対応するのかという心配をする営業マンもいた。
現在は、電子カタログがすべてオンライン上のクラウドに保管されており、ネットワークを使って、1回ずつ情報を引き出さなければならない。
サイバー攻撃などが起きてオンラインがダウンした際に、全国で一斉にカタログ情報まで取得できなくなると、販売店の商売としては大きな問題になる。
電子カタログをオフラインで保存しておくか、販売店用にだけ紙媒体のカタログを配布しておくなど、対策が必要となるだろう。
まだ、ハッキリとした廃止時期は決まっていないが、すでに販売店へは廃止の連絡が入り、その準備が進められている。そして、トヨタに続いて他メーカーでも同様の動きが出ることは容易に想像がつく。
カタログをめくり、隅々まで読んで保管するという文化も残念ながらもうすぐ終わってしまいそうだ。
【画像ギャラリー】「紙カタログ廃止」の要旨を時短チェック! カタログを思い出とともに大事に保管する文化が消える?(8枚)画像ギャラリー
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