思わず目からウロコ!? 生物の生態システムから生まれたクルマ界のメカニズム4選

■技術オンチな筆者がわかりやすく? 簡潔にまとめると……こういうこと??

 プレスリリースの先を続けましょう。

 「キリギリスの足には接触面とのスティックスリップ現象を抑制し、滑らかな摩擦を作り出す機能があり、カエルには濡れた接触面をグリップする機能があると考えられています」

 ……カエルの足は素人なりにイメージできるとして、「スティックスリップ現象」って何ですか? 「静摩擦力が作用する状態と動摩擦力が作用する状態が、交互に発生することによって起きる振動現象」との註釈が付いてますが、註釈を読んでもまったくわかりません! わからないので、問題は先送りしたまま次にいきましょう。

 「この両者に共通する六角形の形状をクラッチのスチールプレート側に加工することで、低温時の伝達安定性やクラッチの耐久性を高めました。これまでクラッチの性能向上は、主にフェーシングプレート側の摩擦材の性能向上に主眼が置かれてきましたが、表面加工をスチールプレート側に施すことで、クラッチの性能を高めることが可能となります。ジヤトコの社内試験では、耐久性、摩擦特性ともに大幅に改善することを確認しました」

 ええと、相変わらず細かいことはほとんどわからない技術オンチな筆者ですが、こう見えて実は現国は得意で、偏差値70以上ありました。今回のリリース文がもしも現代国語の試験問題だとしたら、以下のように大意をまとめればおおむねOKでしょう。

「バイオミメティクスを活用した湿式クラッチ」 スチールプレート表面
「バイオミメティクスを活用した湿式クラッチ」 スチールプレート表面
「バイオミメティクスを活用した湿式クラッチ」 表面加工(拡大)
「バイオミメティクスを活用した湿式クラッチ」 表面加工(拡大)

 「AT専門メーカーのジヤトコは、カエルとキリギリスの足を生物模倣した新技術の開発に成功した。これまではクラッチのフェーシングプレート側摩擦材の性能向上が主眼に置かれていた。しかし、スチールプレート側に表面加工を行うことで、さらにその加工をカエルとキリギリスの足に共通する六角形の形状に特殊加工することで、低温時のクラッチの安定性やクラッチの耐久性が大幅に向上することがわかった」

 ……わかりやすい! と自画自賛しながら、技術については相変わらずチンプンカンプンなので、今後のジヤトコさんのATやCVTの耐久性が結論としてさらに向上していくことを、下町の片隅からそっと祈りたいと思います。

■ミドリムシから生成するバイオディーゼル燃料の「DeuSEL」(デューゼル)

 このほか、バイオミメティクス=生物模倣を生かした車関係の技術といえば、「いすゞとユーグレナが共同開発したミドリムシを原料とするバイオディーゼル燃料」なんてのもあるそうで。

 DIESEL(ディーゼル)とeuglena(ユーグレナ)を組み合わせた造語である「DeuSEL」(デューゼル)というこの新燃料は、ユーグレナ(和名:ミドリムシ)から作ったバイオディーゼル燃料。性能的には石油由来の軽油と同等であるらしい。

「DeuSELプロジェクト」は、2014年6月25日に株式会社ユーグレナといすゞ自動車の共同記者会見において発表、いすゞの藤沢工場シャトルバスにて2020年4月1日よりバイオディーゼル燃料の使用を開始している
「DeuSELプロジェクト」は、2014年6月25日に株式会社ユーグレナといすゞ自動車の共同記者会見において発表、いすゞの藤沢工場シャトルバスにて2020年4月1日よりバイオディーゼル燃料の使用を開始している

 ユーグレナ社からいすゞへのDeuSELの供給は2020年3月中に完了し、いすゞ自動車藤沢工場と湘南台駅を結ぶシャトルバスでは2020年4月1日から、このDeuSELが使われているとのこと。ううむ、乗ってみたい。でも「石油由来の軽油と性能は同等」だから、乗っても違いはわからないのか?

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