「テスラに追いつき、そして追い越す!」 AIで将棋の名人を破った天才がクルマの自動運転に挑む!! TURING代表、山本一成CEOインタビュー(前編)

■クルマを自前で作り、テスラを凌駕する!

山本CEOはあくまで「自動運転レベル5を達成できるクルマを我々自身の手で作る」と、その熱意を語っていた
山本CEOはあくまで「自動運転レベル5を達成できるクルマを我々自身の手で作る」と、その熱意を語っていた

山本/メーカーと組むのではなく、我々はクルマそのものを作りたいと思っています。

国沢/独自企業であるテスラのようになると?

山本/そうですね。なりたいと思っています。アメリカではGoogle、Facebook、Amazon、Microsoftなど無数のスタートアップ(起業及び新規事業)ができてとんでもない企業価値になっていますよね。そういうチャレンジをする人って日本にももっといてもいいんじゃないかと思っているんです。

国沢/なるほど。

山本/テスラだって最初は「何なの、この会社」って皆から思われてました。今や新しい産業テクノロジーって、世界でアメリカと中国ばかりで生まれてます。日本人の頭が悪いわけじゃない。やらなきゃ、って最初に思ったんですね。

国沢/100%私も同意します。そのとおりだと。日本はやっぱりそういうところが弱い。新しいことをやろうっていう人もそんなに出てこない。周りから押さえつけられちゃうし。ただ、やっぱり最短距離を進むための方法論は必要かな、と思います。話を自動運転に戻しますが、今の自動運転の現状をどういうふうに思っていますか?

■優れたセンサーを持つ人間をAIは超えることができるのか?

TURINGが開発中のテスト車両でのデータ取りの様子。プレステのコントローラーでハンドルを操作する
TURINGが開発中のテスト車両でのデータ取りの様子。プレステのコントローラーでハンドルを操作する

山本/まず、人間ってクルマの運転がうまいんだなって改めて思います(笑)。実際に自動運転を作るっていう視点で考えてみると、人間というものは本当にいろんな判断をして運転をしてるんだって気づかされました。限定された区間を走るっていうだけだったら、センサーをいっぱい積んでしまえばできると思うんです。けど、何が難しいかというと「判断」なんですね。例えば、走行中に路駐している車両があって、これが本当に路駐かどうかって、人間は軽やかに判断してますけど、AIだと難しい。

国沢/そうですね。

山本/人間が今まで見落としてきた、あるいはとっても上手いドライバーしか理解できなかったことまで汲み取るようなレベルじゃないと絶対いけないと思うんです。そういう高度な判断を作らなきゃいけないっていう意味では非常にまだ拙いレベルでしかないです。意味不明なことが起こった時にどう対応するか、あるいは危険を事前に遠巻きに逃げるっていうことが必要です。

国沢/人間と同じくらい高度な判断って今のコンピュータの解析性能とか容量とかで対応できると思っていますか?

山本/この瞬間は届かないと思ってます。私の将棋のAIプログラムは今から12年前に始め、10年ほどやりましたが、最初はまったく駄目でしたね。AIの機会学習とかやってもぜんぜん技術として成立してなかったし、コンピュータも今と比べてすごく貧弱でした。でも、結局そういったAIコミュニティのパワーアップとか、あるいはハードウェアの進歩とともに大きく変わって人間の将棋の名人をも負かせるようになりました。自動運転に関しても5~10年あればたどり着けないものではないと思っています。

国沢/たぶん将棋の世界では、いきなり殴りかかってきたり、将棋盤をひっくり返して逃げたりする人って、考える必要がないと思うんですね。でも、クルマの場合は当て逃げしてきたり、目の前に飛び出してきたり、女の子がひとりで乗っていればクルマは止まるだろうからって止めてからガラスを割って連れ出す輩も出てくるわけじゃないですか。そういうレアケースをやっていかないと、自動運転ってダメだと思うんですよね。先日も自動車メーカーの開発者と話をしていて、死亡事故って1台のクルマが2億7000kmくらい走らないと起きないそうです。それを例えば100件集めてシミュレーションすることもできると思うけど、やっぱりパターンにはまらない事故とって起きるんですよね。そういうものに対して人間はいろんな対応をします。人間よりも優れたセンサーって何かありそうな雰囲気ですか?

山本/例えば、人間の目ってよくできてるんですけど、カメラなら可視光線だけでなく赤外線も取れます。人間には難しいような情報だって入ってくる。問題は目がどれだけよくても不明な行動をしてクルマに対してどうすればいいかっていうことは、センサーは答えを出してくれないです。

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