昭和から平成初期にかけてのクルマは5万kmも走るとトラブルが出始め、10万km手前ともなるとそこそこ手を入れる必要が生じた。
このため、10万km超えての使用にはかなりの覚悟が求められた。ところが、現在のクルマは各部の耐久性が格段に向上し、10万kmは単なる通過点。20万kmを余裕で走りきれる耐久性を有している。
とはいえ、クルマはあくまで機械だ。壊れにくくなったとはいえ、油断しているとトラブルに見舞われることがあるのは当たり前。日常的な点検やメンテナンスは必要だ。
ということで、新車で購入してから10万、20万kmと長くつきあっていくために最低限、注意すべき点をピックアップした。
文/鈴木伸一
写真/ベストカーweb編集部、Adobe Stock(トビラ写真/Panumas@AdobeStock)
■10年以上乗るためのターニングポイント1/新車納車時
新車で購入した場合、1ヵ月経過すると「無料点検の案内」が届く(もしくは事前に説明がある)。新車特有の「1ヵ月点検」と呼ばれる初回点検の案内で、あくまで任意。断ることもできるが素直に受けることをお勧めする。
精密機械でもあるクルマは、購入した直後に不具合が起きる「初期不良」が、希に発生する。つまり、新車だから「絶対に安全」という保証はなく、万が一にもそんな不具合をかかえたままの走行は危険でもある。
点検の目的は「転ばぬ先の杖」。整備に不慣れな素人には気付けない、そんな「不具合の芽を詰む」という目的があるからで、それこそがプロの存在意義でもあるのだ。
また、機械にはスムーズかつ快適に動作できる「適温」というものがある。エンジンであれば冷却水の温度が「80~90℃」の範囲で、昭和モデルの車両では走り出す前の儀式として、水温が上がるまでアイドリングさせる「暖気運転」が必須であった。
ところが、電子制御燃料噴射による燃料供給が一般的な現代のクルマは、コンピューターが燃焼状態をチェックすることで常に最適な混合気を供給してくれる。このため、基本的に上記の暖機運転は不要。エンジン始動後、すぐに走り出してOKだ。
しかし、「エンジン始動後すぐ全開運転OK」という訳ではない。水温が安定するまで、エンジンに無理な負荷をかけることなくゆったり走らせることが肝心だ。
冷却水が適温まで暖まらないとエンジン内部の各部が熱膨張を考慮した適正なクリアランス(隙間)とならないため、無理に回そうとしても回転が重く、異音を発したりする。そんな状態で無闇に回転を上げると摺動面(金属が擦れ合っている面)にダメージを与える可能性があるからだ。
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