なんだって!? ホンダの新型SUV、ZR-V投入で予見される失敗

■デザインは日本人向けではないと思う

 一方懸念点は、少し丸すぎるデザインではないだろうか。日本では角張ったデザインのほうが受けるし、ヴェゼルの水平基調ともちと風合いが違う。だが、マッチョ感はあるし、カロクロにわりと似てるし、個人的にはグリルの大型ハニカムをシャープにするだけでもだいぶ日本人向けになると思う。

 とはいえ、インテリアクォリティ、リアシートは完全にカロクロを凌ぐ。そもそも格下のヴェゼルからして質感はカロクロを上回っていたし、写真を見てもチェック柄に赤ステッチのシートは質感が高いし、樹脂クォリティも間違いなくいい。

 リアシートは全長からしてヴェゼル以上の広さは間違いなく、ラゲッジはなんと690L。カロクロの487Lより段違いで広い。

 小沢は断言しよう。カロクロに燃費では負けるだろう。ただし、加速の透明感、インテリアの上質感、リアシートの広さ、ラゲッジの使い勝手ではZR-Vだ。価格設定を大間違いしなければ勝つか、ナイス勝負には絶対持ち込める。

■予見されるカローラクロスとの価格差プラス150万円

 しかし……ここからが予見される繰り返される可能性のあるホンダの失敗だ。ホンダは恐らく値付けを間違える。それも10万円や20万円じゃない。100万円オーバー単位で間違えるだろう。

 最初に考えて欲しいのが、現在好調に売れているカローラクロスの価格設定だ。確かにトヨタらしくコスパに優れ、ハイブリッドFFが259万円、ガソリン1.8Lに至っては199万円とすごく安い。まあ、ここまでホンダはやらなくていい。ZR-Vの1.5Lターボが230万円スタート、e:HEVが280万円スタートでもいいと思う。そう、ヴェゼルよりも10数万円高いくらい。

 ただし、そうはならない……というかできないはずだ。なぜなら現状でベースのシビックがすでに高いからだ。そもそもここから間違っていると思うのだが、シビックはガソリン車が319万円、ハイブリッドが394万円から。

 特にハイブリッド。一般的にはライバルと目されるプリウスが259万円、カローラセダンハイブリッドが240万円だからどれだけ高いかわかるだろう。実に150万円も高いのだ。

 従ってシビックSUVたる新型ZR-Vはおそらくガソリンが330万円、ハイブリッドが400万円を超える。ガチライバル、カロクロのガソリンが199万円、ハイブリが259万円なのに! これまた130万円から150万円高い。ほとんど同じクラス、同じカテゴリーのクルマが! 同じクラスのクルマがいくら質感がいいからって100万円以上高くて誰が買のだろうか!!

■ジャッジするのは消費者

 正直、この条件でZR-Vの勝利はあり得ないと思う。だがもしや一部ホンダのお偉いさんは「ZR-Vとカロクロさんはクラスが違いますから」とでも言うのだろうか。

 確かにサイズであり、パワーなどは微妙に違う。質感も違う。しかし私は、カロクロとZR-Vはガチライバルだと思う。ほとんど井上尚弥と亀田和毅くらいのサイズ差。どうみても両者は同クラスだ!

 ホンダはこれまで同様の失敗を何度も繰り広げている。

 たとえば世界ではガチライバルのトヨタRAV4とホンダCR-V、国内のスタート価格は277万円対336万円だ。同じ失敗を繰り返しすのだろうか? それも今回、価格差が広がるのではないか。

筆者の予測通りに値付けが高いのであれば、相応の付加価値が必要になってくる。ユーザーが買ってもいいなと納得できる魅力があるのかが焦点となってきそうだ
筆者の予測通りに値付けが高いのであれば、相応の付加価値が必要になってくる。ユーザーが買ってもいいなと納得できる魅力があるのかが焦点となってきそうだ

 CR-Vも、クルマ自体はよかったんで余計悲しかった。価格は商品の最大の性能だ。ほかがいいのに、最大の性能の価格設定を間違えてどーすんの!!

 マジメに小沢はまだまだ繰り返されるであろう、ホンダの価格戦略の大失敗が悲しい。ってか俺以上に販売現場が悲しいはず。「ああ……またですか……」と。

 クルマは間違いなくいい。でもライバルより150万円高いクルマ、誰が買うんですか? ホンダ首脳陣様、胸に手を当てて考えてみてください。アナタ、ホントに買いますか?? 消費者の立場になって。


【画像ギャラリー】売れる? 売れない??(10枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!