EVはむしろ電力供給の逼迫を助ける存在
日産サクラや三菱eKクロスEVは、軽自動車であるため車載のリチウムイオンバッテリー量が限られ、20kWh(キロ・ワット・アワー)だ。それでも一般家庭で使われる一日の電力量は約10kWhとされるので、約2日分の電力量に相当する電気を蓄える能力がある。
日産リーフになれば2倍の40kWhで、リーフe+なら61kWhになる。日産アリアの上級車種は、91kWhの大容量だ。こうなると、数日分の電力を貯めていることになる。そして自宅へEVからの電力を供給できるVtoH(ヴィークル・トゥ・ホーム)の機器を設置すれば、充電してある電気を暮らしに役立てることができる。
たとえば電力供給逼迫の事態となったとき、昼過ぎから夕方まで出掛ける予定のない人は、EVから自宅へ電力の供給を受ければ系統電力に依存せずに済む。それでも万一停電となった場合も、EVの電気を自宅で使えば、冷蔵庫も空調も継続的に利用でき、スマートフォンへの充電もできる。家庭電化製品のタイマー設定も、やり直す必要がない。
勤務先などにおいても、電力供給が逼迫する時間帯は数時間なので、その間だけEVからの電気で仕事を続ければ、通信機器などが停電で利用できなくなるといったことを避けられる。
数時間であれば、帰宅のための電力がなくなってしまうことも避けられるかもしれず、もし足りなければ、帰宅は遅れても充電して帰ればよい。夜間になれば、最寄りの急速充電器を利用しても、電力逼迫への影響は避けられるだろう。
自宅での夜間の普通充電によるEVへの充電という基本が確立すれば、EVが存在することにより、かえって電力消費の調整役として機能できるのである。電力消費のピーク時に、普及したEVがみな一斉に充電したら、原子力発電所10基分の追加が必要との論調は、まさにEVの本質を知らぬ誤認でしかない。
そのうえで、自宅で普通充電を済ませたEVが勤務先へ行き従業員用駐車場に駐車し、そこで仕事をしている間、バッテリーに充電された電気を企業が利用すれば、系統電力に依存してきた企業の電力消費量をピーク時に減らすことに役立つ。
しかしそれでは個人の電力を会社が利用してしまうことになるとか、会社で電気を使われてしまったら帰宅のための電力が不足するといった懸念があるかもしれない。
個々の事情や帰宅時間などを考慮し、管理することにより、個人が不自由しない範囲で電力の提供を調節すればよいだけのことだ。そして、会社で使った分の電力は、当人が帰宅する時間まで充電し、元に戻せば済む。
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コメントの使い方◇国連による2022年実績と2100年推計の、世界人口の上位国トップ10ランキング 、2100年
1位 インド15億2985万人 2位 中国 7億6667万人
3位 ナイジェリア 5億4609万人 4位 パキスタン 4億8702万人 5位 コンゴ4億3238万人 となり自動車の市場として勃興。人口上位国が自動車をすべてEVとするのは2050年でも無理。世界190か国中160か国はガソリン必須。