「電力不足!!!」の日本で普及は難しい?? いやいやEVが救世主になるかもしれない課題と変革への打ち手

電力需給の仕方を変えるEVの可能性

 そうした実証実験を、日産自動車ではすでに行ってきた。それによって、企業が電力会社へ支払う電気代を節約でき、なおかつ従業員はなんら不自由なく通勤できる充電管理が行えたのである。電力の使用時間帯に応じた電気代の高低や、電気料金形態の新たな発想が必要になるだろう。それでも実証実験を行いながら、参加した個人も会社も誰もが損をしない、逆に利益の得られる料金形態を組めれば、あとの管理は人工知能や通信技術を活用し、運用すれば済む。

 単に系統電力に依存するのではなく、個人と企業の電気の使い方を総合的に管理し、運用する新たな社会基盤が出来上がれば、発電所の数を減らす可能性さえあると日産は試算した。

 この考えを、地域で運用すれば、近隣との協力で住まいの電力消費管理もできるようになり、各家庭でEVを使うことによって、総合的な電力の効率化がはかれることにもなる。しかも、万一の停電に対しては、地域の電力確保も可能になり、暮らしの安心をより高めることにつながる。

 以上のような新しい電力需給の仕方には、開発のための投資も必要かもしれない。だが、それはすなわち新しい事業の創出ともいえ、雇用も生まれるだろう。電気に依存した現代の暮らしをより安心で快適にする社会づくりになっていく。

 既存のエンジン車やハイブリッド車では、災害など一時的な緊急事態で電気製品への電力供給ができても、日々の暮らしを支える電力需給の管理までは難しい。

 EVの本質を知らず、普及を恐れ、エンジンにしがみつこうとする姿は、19世紀後半、馬車で生計を立ててきた人を守ろうと英国で行われた赤旗法(エンジン自動車の前を、赤旗を持った人が先導して歩かなければならないとした法律)のように、社会の変革を受け入れられない人々の苦悩の表れといえる。

(※編集部注/「EVの夜間充電主体」に関しては、ユーザーの「クルマの使い方に関する意識改革」が重要なポイントになると編集部は考えています。ざっくり言えば、クルマはこれからスマホのような使い方に近づいてゆくのかもしれません。また、こうしたユーザー側の意識転換と同時に、電力逼迫時間である夏の昼間や夕刻はなるべく充電しないよう習慣づけたり、給電料金に時間割を設けたりするなど行政側の施策も重要になってくるでしょう)

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