1980年代ごろまで、国内新車販売に占める軽自動車の割合は20%程度だった。それが、2016年、2017年は35%、今年2018年には40%に迫る勢いだという。
規格そのものの変遷ももちろんだが、その一方、厳しい制限のなかで、使い勝手や居住性、安全性を追求し、(時にはスポーツカーも真っ青になる走りを披露しながら)革新を繰り返し遂げユーザーの信頼を勝ち得てきたことも、やはりその背景として大きいだろう。
そこで今回は、軽の概念を変えた歴代的なモデル10台を紹介してみたい。過去の軽たちも、すごかったんですよ、実に。最下段には「コスパで選ぶ軽トップ5」も収録。
※本稿は2018年8月のものです
文:片岡英明/写真:SUBARU、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2018年9月26日号
■軽の歴史を変えたエポックメイキングなクルマたち TOP10
(TEXT/片岡英明)
今につながる軽自動車の基礎を築いたのがスバル360だ。今から60年前の軽自動車はふたりしか乗れないクルマが多かったし、メカニズムの信頼性も今一歩だった。が、スバル360は航空機づくりのノウハウを駆使して軽量で強靭なボディと優れたパッケージングを生み出している。
1位 スバル360(1958年〜)
大人4人が座れ、軽量設計だったから走りも軽快だ。ロングドライブも無理なくこなす実力派だった。10年にわたって第一線で活躍し、リッター100psの高性能車も送り出している。驚きの連続だったから第1位に選んだ。
2位 スズキ 初代ワゴンR(1993年〜)
このスバル360に勝るとも劣らない名車がスズキのワゴンRだ。背を高くしたハイトパッケージと多彩なシートアレンジによって上級クラスに負けない、広いキャビンと使い勝手のいいラゲッジルームを手に入れた。ワゴンRが登場しなかったら、今の軽自動車の隆盛はない。
3位 ホンダ N360(1967年〜)
ホンダN360も衝撃の軽自動車だ。安い、速い、広いと三拍子揃ったベーシックミニで、発売されるや販売記録を次々に塗り替えている。ライバルよりはるかにパワフルで、FF方式ならではの軽快な運転感覚も新鮮だった。キャビンも広く快適だ。時代に先駆けてAT車やサンルーフ仕様などを設定したことも特筆できることだろう。軽自動車史に刻まれる名車である。
4位 スズキ 初代アルト(1979年〜)
4位は47万円の衝撃的な低価格で登場したアルトだ。フロンテの商用車版だが、税制の盲点をつき、維持費の安いボンネットバンに仕立てている。軽自動車の原点回帰を果たしたが、アルトの成功によって軽乗用車は絶滅の危機に瀕することになった。
5位 マツダ 初代キャロル(1962年〜)
5位に選んだのは、マツダの初代キャロルだ。空冷の2サイクル2気筒が常識だった時代に、水冷の4サイクル4気筒エンジンを積み、上級クラスと遜色ない快適性を実現している。また、全長3mのなかで2ドアだけでなく4ドアモデルも設定し、利便性を高めたことも新鮮だ。
6位 スズキ 初代ジムニー(1970年〜)
6位は今も根強いファンに支えられ、愛されているジムニーである。世界最小の本格派クロスカントリー4WDで、サスペンションも悪路での走破性に優れたリジッドアクスルだ。基本的なメカニズムは最新のジムニーでも変わらない。これを見てもジムニーのすごさがわかるだろう。
これ以降の順位は左のとおり。9位のタントはスーパーハイトワゴンの世界を切り開いたことを高く評価したい。子育てママの世代を魅了し、ファン層を大きく広げた。
7位 マツダ AZ‐1(1992年〜)
8位 ホンダ ビート(1991年〜)
9位 ダイハツ 初代タント(2003年〜)
10位 ホンダ 初代ライフ(1971年〜)
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