受注4600台突破へ! 「i-MiEV」「eKクロスEV」へ繋がる三菱のEVへの挑戦

日産との共同開発によって誕生したeKクロスEV

 次期型i-MiEV実現への思いはあっても、原価低減の見通しが立たないうちは開発を前進させることはできない。この間、三菱自は日産自動車と軽自動車の企画/開発/生産を共同で行うNMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)を、互いに50%ずつの出資で設立した。

 さらに、資本提携も両社が行うことにより、密接に知見を共有しあえるようになった。また両社で販売する軽乗用EVとして、販売台数の多さも期待しながら、新型軽乗用EV開発が実効性を帯びるようになっていったのである。

 2009年に三菱自がi-MiEVの発売をした翌10年には、日産もリーフを発売し、ともにEVの販売を続けてきたことが、原価に厳しい軽自動車でのEV開発に大きく役立った。

 日産も、初代リーフではマンガン酸リチウムをバッテリー電極に採用した。これもEVでの安全を最優先した結果だ。ただし日産は、NECとの共同開発により自社開発し、AESC(オートモーティブ・エナジー・サプライ)というバッテリー製造会社を立ち上げた。2代目リーフでは、世界的に採用の広がるニッケル/コバルト/マンガンという3つの元素を用いた電極を採用し、バッテリー性能を大きく向上させている。

 日産は、マンガン酸リチウムという安全を最優先した電極で初代リーフを市販し、その使用状況を一台一台すべて入手し、消費者の使い方を検証し尽くしたうえで、より高性能なリチウムイオンバッテリーへの転換をはかった。

 したがって、3元系とよばれる新バッテリーでも、高性能でありながら安全は確保できており、リーフは累計60万台以上を世界へ売ったが、いまだにバッテリーに関する重大事故ゼロを誇る。

 三菱eKクロスEVには、日産サクラと同じリーフで使われるリチウムイオンバッテリーを採用することで、軽自動車の小さな車体でも実用性のある一充電走行距離を実現できている。また、リーフを通じ大量に生産されてきたリチウムイオンバッテリーの流用により、EVにおいて高いとされるバッテリー原価を抑えることに役立っている。

 eKクロスEVの生産は、日産サクラとともに、i-MiEVの時代からEVとガソリンエンジン車の混流に慣れた水島工場で行うので、製造面での原価を抑えることにもつながっている。 ほかにも、性能と原価の両立は多岐に及ぶが、10数年にわたりEVを販売し続けてきた両社の共同作業によればこそ、軽自動車として納得できる価格での新型EVが誕生したのである。

【画像ギャラリー】i-MiEVやランサーEVなど「eKクロスEV」の開発に役立ったクルマたち(20枚)画像ギャラリー

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