夏のトラブルといえばバッテリー上がり 長持ちさせる 復活させる方法とは

■バッテリーが弱ってきた時のサインを見逃すな

窓を開閉するときの動きが鈍くなったり、セルモーターの回転が弱くなったりしていたら危険信号(Natallia@AdobeStock)
窓を開閉するときの動きが鈍くなったり、セルモーターの回転が弱くなったりしていたら危険信号(Natallia@AdobeStock)

 稀に鉛酸バッテリーでも、いきなりバッテリー上がりを起こす突然死も可能性としてはある。

 しかしそれはギリギリまでバッテリーが機能し続けようとした結果であり、極板が壊れる(柔らかい鉛のペーストなのであり得る)ことや、クルマが効率的に電力を使ったことで耐えていたからかもしれない。通常は、何らかの兆候が見られるはずなのだ。

 始動時にセルモーターの回転が弱くなる。最初の回り始めが重かったり、全体的に回転が遅いと感じたら、バッテリーは黄色信号を発していると思っていい。そのままの使い方を続ければ、近いうちにバッテリーは赤信号、すなわちバッテリー上がりを起こすことになる。

 パワーウインドウの動きが鈍くなったり、ホーンの音色が変わってしまったりするのも、バッテリーが弱っている兆候かもしれない。しかしエンジンを停止した後にパワーウインドウを操作したりホーンを鳴らしたりしなければ、これは気付きにくい。

 出先で立ち往生、あるいは自宅から出発しようとしてエンジン始動不能になってしまうと、機会の損失や時間のロスは計り知れない。そうなる前にメンテナンスによってバッテリーを交換、あるいは機能を回復させてやることが大事だ。

 なお、バッテリーが弱る原因は、バッテリー自体の能力低下だけでなく車体側に原因(アース不良や抵抗増加など)があったり、オルタネータ(交流発電機)の発電能力が低下している場合もある。

 またドライブレコーダー(駐車中も監視する機能)などで待機電流が増えている場合は、バッテリーの負担は増えるので、上がりやすくなってしまう。

 スモールランプやハザードランプを点けっぱなしにしてしまうなど、長時間少しずつ放電しているとバッテリー内部にサルフェーション(硫酸鉛が結晶化して極板表面を覆ってしまう現象)が発生して、バッテリーの酸化還元作用が進んでしまう。

 長期間の停めっぱなしでも自然放電によりサルフェーションが発生し、バッテリーの起電力を低下させていく。以前はサルフェーションがある程度増えてしまったら、バッテリーは寿命と思われていたが、最新技術を利用すれば、ある程度は解消できるようになっている。

■バッテリーは専用チェッカーで簡単にチェックできる!

バッテリーの点検整備は自分でも取り掛かりやすいメンテナンスだ。バッテリーチェッカーもそれほど高価ではないのでぜひチャレンジしてみよう(kegfire@AdobeStock)
バッテリーの点検整備は自分でも取り掛かりやすいメンテナンスだ。バッテリーチェッカーもそれほど高価ではないのでぜひチャレンジしてみよう(kegfire@AdobeStock)

 バッテリーの点検とメンテナンスなんて難しそう、と思われるかもしれないが、DIYメンテナンス初心者にもバッテリーのメンテナンスは取り掛かりやすいメニューの一つだ。

 ダッシュボードのアクセサリーソケットに差し込むだけでクルマに流れる電流の電圧を計測して表示するバッテリーチェッカーもあるが、それはオルタネータが発生している電流なので、バッテリーだけを計測した方がより正確にバッテリーの健康状態を知ることができる。

 メルテックのバッテリー診断機ML-102は、バッテリー電圧や内部抵抗だけでなく、バッテリーのエンジン始動能力やオルタネータの発電状態まで診断できる。充電器では実績があり、日本のメーカーなので保証も安心できるのがいい。

 電圧測るくんはLED表示だけのシンプルなシステムながら、安価で小型軽量、気軽に扱えてクルマにも搭載しておきやすいので、初心者にもお勧めだ。

 バッテリーチェッカーの診断が要充電となっていれば、バッテリー充電器で補充電してやればいい。最近の充電器はパワー半導体を使ったデジタル制御で電圧を緻密にコントロールしているので、クルマにバッテリーを載せたままクリップをつなげるだけで充電できるので簡単だ。

 メルテックのMeltecPlus MP-220は、バッテリーの診断機能やパルス充電まで行なえる多機能充電器だ。パルス充電をすることで、バッテリーの内部で起こっているサルフェーションを徐々に解消させることができる。

 ただしバッテリー充電器では一度の充電でサルフェーションを完全に解消させることは不可能。だから月に一度の補充電をパルス充電で行なうか、パルス発生器をバッテリーに取り付けるという方法もある。

 補水できるバッテリーであれば、本体の側面からレベルケージを確認するか、各セルのキャップを開けてレベルを確認(キャップが入る樹脂部分の先端がアッパーレベルであることが多い)しよう。キャップを外して覗いてみて、極板より液面が下にあれば明らかにバッテリー液が不足している。

 バッテリー液が不足している場合は、補充液か精製水を補充してやる。各セルが均等になるように補充すること。補充するとバッテリー液の比重が下がって起電力が低下してしまうので、補充電を必ず行なようにしよう。

 アイドリングストップ機構が頻繁に働きすぎて、バッテリーに負担をかけていると思うなら、キャンセラーを取り付けるのも対策になる。長い信号待ちだけ自分でアイドリングストップを作動させれば、環境性能とバッテリーライフを両立できる。

 パルス充電を含んだ補充電と補水で、バッテリーの寿命は大きく延ばせる。真夏のドライブ前にバッテリーの健康状態を診断してメンテナンスすることで、出先でのバッテリー上がりを防ごう。

【画像ギャラリー】ナビにドラレコにオーディオ……イマドキのクルマはとかく電力を使いがち……だから大事なバッテリーケアのあれこれ(6枚)画像ギャラリー

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