えっ! 大幅値引きが必ずしもお得とは限らない!? クルマの年度末セールの仕組みを解き明かす


 ディーラーで商談していると、「今ならこれだけ値引きできます」「何日からは大幅に条件が良くできますよ」など、値引きの条件が期間限定のように伝えられることがある。特に年度の変わり目に多発する表現なのだが、これはどういうことなのだろうか?

 本稿では、自動車ディーラーで行われる「値引き」の背景やメカニズムを解説していく。実は単純に安く買えばいいというものではなく、その価格の仕組みを理解し、値引きを有効に使ってほしい。

文/佐々木 亘、写真/Adobe Stock(トップ画像=beeboys@Adobe Stock)

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■値引きはなぜ行われるのか?

ディーラー営業マンは、東海や関西など、西にいくにしたがって「値引き=顧客との当然の会話」だと考えていた(Studio Romantic@Adobe Stock)

 筆者が現役営業マン時代、様々な地域で販売活動する営業マンと交流する機会が数多くあった。その中で、傾向としては東海・関西など西へ行くほど「値引き=顧客との当然の会話」だと思っており、関東・東北では「値引き=無くても良い面倒な作業」と認識している人が多い。

 値引きについては、古くからある商売の文化だ。その文化が、今日まで自動車販売に関しては残っているということになる。

 同じクルマでも、販売店ごとに定価が違うなら、値引きを要求するのも当然だと思うが、現在は本州に住んでいる限り、同一車種・同一グレードのクルマであれば、どこで買っても同じ定価だ。

 今は、メーカーそのものが値引きを拒否する動きも出てきた。レクサスや新型クラウンでは車両本体やメーカーオプションについては、値引きが出来ない状況となっている。

 一種のコミュニケーションであった値引きだが、値引きが無くてもコミュニケーションは取れるはず。そろそろ前時代的な仕組みとは、お別れする時期になっていると筆者は思う。

■値引き額が変動する理由

 日本でクルマを買う際に行われる「値引き」は、ディーラーの利益を削り取る行為だ。ディーラーが大幅な値引きして販売しても、メーカーは痛くも痒くもない。

 さらに、新車の定価はメーカー小売り希望価格が設定されていることで分かるが、ディーラーではなくメーカーが決めている。つまり、メーカーがクルマを生産し、ディーラーが仕入れた瞬間に、ディーラーが得られる最大の利益額は確定しているのだ。

 ディーラーが利益を得られるのは、ユーザーにクルマを販売し、ナンバープレートを付ける(登録する)時になる。そのため1台でも多くのクルマを販売し、登録していくことが、ディーラーの健全な経営につながっていく。

 多くのディーラーでは4月が決算時期となっており、4月1日から翌年3月31日までに「登録」が終わったクルマの台数で、新車(中古車)による利益を得る。

 つまり、決算の数字を良くするためには、3月31日までにクルマを登録する必要があり、その時期に間に合う新車・中古車は、多少利益が少なくなっても「売ってしまったほうがいい」という判断になるのだ。

 故に、第三四半期(12月)以降、年度の変わり目までに登録できるクルマは、値引きが拡大する傾向にある。

 また輸入車ディーラーでは、イヤーモデルという概念があり、当年に生産されたクルマと、翌年に生産されるクルマでは、市場価値が変わってしまう。そのため、イヤーモデルの切り替え時期には、在庫として抱える新車を、大幅値引きで売り切ってしまうことが多い。

 近年は、新車納期長期化で、国産ディーラーでは年度末に向けての値引きは少なくなり、意味を持たなくなってきた。年度末に販売条件が良くなるという動きは、ここ数年見ることが出来ていない。

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