なぜフルモデルチェンジなのに外観を変えないのか?「キープコンセプトの功と罪」

■さじ加減が繊細な「変化の度合い」

車両全体の雰囲気をそのままに新鮮さを加味した現行型スズキ アルトラパン
車両全体の雰囲気をそのままに新鮮さを加味した現行型スズキ アルトラパン

 ただし、変わり映えのしないフルモデルチェンジを続けると、次第に人気を下げてしまう。N-BOXやムーヴキャンバスのように、初代モデルが人気を高めて、2代目もその外観を踏襲するまではいいが、3代目の判断は難しい。変えなくても売れゆきが下がり、大きく変えて失敗しても、同様の結果を招く。

 この難題に上手に対処した個性派モデルが現行アルトラパンだ。初代と2代目の外観は似ていたが、3代目の現行型は、ボディの端の丸み(R/半径)を大きくした。このデザイン処理により、車両全体の持ち味を変えずに、新鮮味を表現している。

 クルマのデザインにはさまざまな苦労が込められているが、特にムーヴキャンバス、N-BOX、N-ONE、タント、アルトラパンなどの軽自動車には、苦渋の選択が多い。いずれの車種も日本のユーザーを対象に開発され、車種ごとの思惑や戦略の違いもわかりやすい。

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