うちの職場は星2つ!? 運送事業の職場環境改善のため国交省が二つ星認証制度を導入

「業界の闇」を見える化

 運送業では、事故が起きた場合に積み荷の損害賠償や車両の修理費をドライバーに負担させる制度が今もあるが、「交通事故を発生させた場合の違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしていない」も認証項目になっている。

 「トラック業界の闇」ともいえる自腹補償制度を念頭においたものだろう。ちなみに労働基準法では、運転者の責任により発生した損害について賠償を請求することは禁止されていないが、予め金額を決めておくことは禁止されている。

 また、「歩合制度が採用されている場合でも各運転者の労働時間に応じ、各人の通常の賃金の6割以上の賃金が保障されている。あるいは、歩合制度を採用していない」という項目もある。

 トラックドライバーの給与は変動給の割合が大きく、全日本トラック協会の調査によると、その内訳の半分が歩合制度によるものだ。安心して働くためには収入の安定は欠かせない。

 ほかには次のような認証項目(一部)がある。いずれもグループ化された小項目で、営業所のすべてが該当する場合2点、一部が該当する場合は1点が加算され、基準点以上で合格となる。

心身の健康

  • ●脳・心臓・消化器系疾患や睡眠障害等に関するスクリーニング検査等法令で定められた健康診断以外の健康診断を実施している
  • ●従業員の心身の不調を未然に防ぐ取り組みを実施している
  • ●パワハラ、セクハラ等のハラスメントの相談窓口となる部署又は担当者、連絡先等を社内掲示等により従業員に周知している

(安心・安定)

  • ●労働災害・通勤災害の上積み補償制度がある
  • ●退職一時金制度、企業年金制度、中小企業退職金共済制度等の退職金制度を設けている
  • ●定年廃止、定年延長又は再雇用により、65歳を超えても働ける制度がある
  • ●採用当初または採用から1年以内に希望者全員を正社員に登用する方針を明示している

(多様な人材の確保・育成)

  • ●運転免許の取得支援制度を設けている
  • ●運行管理者、フォークリフト、クレーンなど、運転免許以外の資格取得支援制度を設けている
  • ●常時選任する女性運転者がいる
  • ●女性専用の便所及び更衣室がある。また、仮眠施設または睡眠施設が必要な営業所の場合は、女性専用の当該施設がある
  • ●運転者の多様なニーズに対応した勤務シフトを設けている

 運送業には中小企業が多く、中にはブラックな職場もあるが、「ホワイト経営」を進めている事業者もたくさんある。認証制度により職場環境を見える化することで、そうした取り組みが定着するとともに、エッセンシャルワーカーとしてのドライバーの地位向上を期待したい。

【画像ギャラリー】事業者によって職場環境はさまざまだがドライバー不足は共通している(3枚)画像ギャラリー

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