グローバル展開をする車種が増えるのは自動車メーカーにとっても致し方のないことだ。しかし海外を向きすぎて、日本国内での使い勝手が悪かったりする車種も多い。
そんななか、かつてのガラケーを彷彿とさせるような「国内市場に寄り添った」国内専売車を5台ピックアップ。
日本のユーザーの期待に最後まで応えたい、そんなメーカーの意地をご覧いただこう。
※当記事では例外的な小規模の輸出、日本市場での販売後の輸出などは日本市場専売車として扱っております
文:永田恵一/写真:ベストカー編集部
■日本のフラッグシップは国内専売であるべし
最近は「日本市場に強く配慮したクルマが減っている」とよく言われる。
しかし、そんな状況下でも日本で販売される日本車のラインナップを見てみると、軽自動車以外においても基本的に日本だけで販売される日本専売車というのもそれなりにある。
当記事ではその中でも日本市場への配慮が強いクルマを紹介し、そういったクルマたちの魅力や日本専売車ゆえの弱点を考察する。
まずはセンチュリー。日産プレジデントが絶版となった現在、トヨタセンチュリーは日本唯一の基本的にプロの運転手さんが運転するVIPカーである。
センチュリーはボディサイズや価格などが特殊な範疇に入るのもあり、V8エンジンを搭載した初代モデルは30年間のモデルライプ。
V12エンジンを搭載した2代目モデルも約20年とモデルサイクルも長く、2018年6月に現行型となる3代目モデルにフルモデルチェンジされた。
先代レクサスLS600hをベースに5リッターV8ハイブリッドを搭載する現行センチュリーの日本専売車ならではの魅力は多い。
ちょっと考えただけでも威風堂々としたスタイル、路面状況によっては僅かな硬さはあるものの、全体的に日本の交通環境によくマッチした乗り味やボディサイズを考えれば望外に取り回しがしやすい。
また各部のズバ抜けたクオリティに加え随所に日本文化を取り入れた内外装の演出など、日本のフラッグシップに相応しい存在である。
日本専売車ゆえの弱点としては前席の雰囲気は意外に質素、ビジネスライクであることが挙げられる。まあこれはショーファーカーとしての存在価値からすれば致し方ないのだが。
運転席の質感の高さが必要ならば、パーソナルなキャラクターを持つレクサスLSがある。センチュリーとレクサスLSがあるおかげで、両車の方向性を明確に分けられたというのはむしろ歓迎すべきことともいえるだろう。
■マツダCX-8は3列シートを実用的に使える日本市場向け
マツダは限られた開発資源を集中する目的もあり、2016年から2018年にかけてプレマシー、ビアンテ、MPVというミニバンをラインナップから落とすという大きな決断をした。
そういった事情もあり「ミニバンユーザーの受け皿」という目論見も含め、CX-8は3列シートを持つラージSUVとして2017年9月に登場した。
CX-8は中国での販売も発表されたが、そのほとんどは日本で販売される実質的には日本専売車とする。
北米を中心に販売される3列シートを持つラージSUVのCX-9をベースに全長、全幅をサイズダウンした成り立ちとなるCX-8。
その魅力はCX-8の登場前も何車種かあったにせよ、3列シートSUVというジャンルを開拓し、注目を集めていることだろう。
さらにCX-8の3列目シートはボディサイズが大きいこともあり、2時間程度であれば充分使える広さを確保している。
3列目を使う頻度が少ないなら、アルファード&ヴェルファイアのようなラージミニバンよりCX-8の方がいい、というユーザーも多い。ユーザーの選択肢を増やした点も大きな功績といえる。
弱点としては、さすがにミニバンほどは3列目シートが広くないことや、日本専用車と考えると1840mmという全幅が1800mm以内ならなおよかったとも感じるが、このあたりは全体的なクルマのキャラクターを考えれば納得できるところだろう。
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