あおられる側にも原因あり!? 「あおられないための運転術」車間距離開けすぎ 追い越し 車線居座りは避けるべし!

■あおり運転はどんな運転?

前走車に車間距離を詰めて迫ることだけが「あおり運転」ではない。側方から急接近する幅寄せや、強引な追い抜き・割り込み、ノロノロ運転なども妨害運転として処罰の対象になる(xiaosan@AdobeStock)
前走車に車間距離を詰めて迫ることだけが「あおり運転」ではない。側方から急接近する幅寄せや、強引な追い抜き・割り込み、ノロノロ運転なども妨害運転として処罰の対象になる(xiaosan@AdobeStock)

 あおり運転については、2020年6月30日に施行された改正道路交通法により、あおり運転を含む妨害運転に対する罰則が創設された。

 あおり運転とは、前走車に車間距離を詰めたり、車両を左右に振ったり、前方に回って急ブレーキをかけたり、クラクションやヘッドライトを操作して威嚇するような運転のことだ。さらに幅寄せや強引な追い抜き、割り込み、わざと前方をのろのろ走る(10km/hおじさんが有名)など、運転を妨害する行為は妨害運転として処罰の対象になる。

 妨害運転として検挙されると、累積点数や免停などの前歴がなくても運転免許は取り消しとなり、最低2年は再取得ができなくなる。そんな行政処分に加え、さらに3年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑事罰まで科せられる。

 高速道路上で後続車を停車させるなど、さらに周囲の車両を危険に晒した場合は、免許の欠格期間は3年となり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と重罰になる。

 警察庁の平成30年1月、警視庁や各都道府県警に出された“あおり運転”に関する通達によれば、「悪質・危険な運転が関係する事案を認知した場合には、客観的な証拠資料の収集等を積極的に行い、道路交通法のみならず、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)、暴行罪等あらゆる法令を駆使して、厳正な捜査の徹底を期すこと。

 また悪質・危険な運転を未然に防止するため、車間距離不保持、進路変更禁止違反、急ブレーキ禁止違反等の道路交通法違反について、積極的な交通指導取締りを推進すること」となっている。

 具体的な「悪質・危険な運転」と「違反の種別」については以下の通り。

■こうした運転があおり運転として罰せられる
●前方の自動車に激しく接近し、もっと速く走るように挑発する→車間距離保持義務違反(法26条)
●危険防止を理由としない、不必要な急ブレーキをかける→急ブレーキ禁止違反(法第24条)
●後方から進行してくる車両等が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならないような進路変更を行う→進路変更禁止違反(法第26条の2第2項)
●左から追い越す→追越しの方法違反(法第28条)
●夜間、他の車両の交通を妨げる目的でハイビームを継続する→減光等義務違反(法第52条第2項)
●執拗にクラクションを鳴らす→警音器使用制限違反(法第54条第2項)
●車体を極めて接近させる幅寄せ行為を行う→安全運転義務違反(法第70条)、初心運転者等保護義務違反(法第71条第5号の4)

※故意に自車を他人のクルマに著しく接近させるなどの運転態様、周囲の道路状況などに照らし、その行為が相手の運転者に対する有形力の行使と認められる場合には暴行罪(刑法第208条)が成立する場合がある

■車間距離や車速に関する感覚を取り戻すべき

日本の高速道路では、80km/h前後のスピードで、市街地をゆっくり走っている時のような車間距離で走っていることがある。周囲のクルマが同じ速度で走行しているせいで速度感覚が麻痺しているのだ。速度を確認し危険を回避できる距離を保ってほしい(shibadog@AdobeStock)
日本の高速道路では、80km/h前後のスピードで、市街地をゆっくり走っている時のような車間距離で走っていることがある。周囲のクルマが同じ速度で走行しているせいで速度感覚が麻痺しているのだ。速度を確認し危険を回避できる距離を保ってほしい(shibadog@AdobeStock)

 しかし日本の高速道路で交通量が多い時の車間距離の少なさは、ちょっと異常を感じる時がある。周囲のクルマが同じ速度で走行しているせいで、速度感覚が麻痺状態になり、まるで市街地をゆっくり走っている時のような車間距離で、80km/h前後のスピードを出しているのだ。

 これは首都高速でも制限速度が高い区間であったり、100km/h制限の高速道路でも見られる光景だ。首都高速では渋滞までしていなくても、結構なスピードで車間距離をほとんど空けないで集団で走行しているシーンに遭遇することすらある。

 もし「ウチのクルマには自動ブレーキが付いているから大丈夫」とでも思っているのであれば、それは2つの意味で危険な考えである。まず1つは、衝突被害軽減ブレーキは作動範囲が限られており、速度域や天候などによっては作動しない場合があることを知っておくべきだ。

 そしてもう1つは、作動しても衝突が避けられないことも多く、作動していようがいまいが、衝突事故の責任はすべてドライバーに課せられるのだ。つまり衝突被害軽減ブレーキはドライバーのミスを補うものであり、基本的にはドライバーが急ブレーキなどで衝突を回避する操作をすることが前提なのである。

 最後に、あおり運転に遭わないためには、どうするべきか。「君子危うきに近寄らず」の精神で、危なそうな雰囲気のクルマが近くにいたら、変に刺激しないようにすることだ。

 相手はイライラをぶつける相手を探しているような状態であることもある。ドラレコを装備するのも大事だが、クルマのリアエンドには「ドライブレコーダー録画中」のステッカーを目立つように貼ることと、周囲を走るクルマの流れを見定めた運転をすることが、自衛のための基本だ。

【画像ギャラリー】その車間距離で大丈夫!? あおる人を近づけないため&自分と周囲の安全のための運転術(5枚)画像ギャラリー

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