かつてはスポーツモデルの象徴だったリアスポイラーが、現在では形を変えたり、小型化したりして、セダンやSUVなどでもボディ後端に羽が付いているモデルが増えた。
本来、ハイスピード領域でなければ(空力調整の)意味をなさないと思われる装備だが、これらのスポイラーはいったい何のためにあるのか、考察していきたい。
文/フォッケウルフ
写真/ホンダ、トヨタ、スバル、日産
■エアロパーツの目的と印象的だったスポイラー
エアロパーツといえば、かつてはスポーツカーのような走行性能を重視したクルマにとっての必須アイテムとされてきた。エアロパーツには、[1]空気の流れを整えて空気抵抗の軽減を図る。[2]揚力を抑えて操縦安定性を高める。[3]冷却性能を向上させる。[4]デザイン的なアクセントをプラスする、といった役割がある。
エアロパーツは車両のフロントや、サイド、リアなどに装着され、それぞれの部位で効果をもたらすわけだが、今どきはスポーツカーほどに走行性能が求められない車種でも装着されることが増えた。
言わずもがな、自動車メーカーが純正アイテムとして採用しているわけだから、開発時から先述したような何かしらの効果を狙っていると考えられる。そもそもクルマに装着されているパーツは、そのほとんどがなにかしらの機能を有しており、それらすべてのパーツが連携することで、車両としての性能が発揮されたり、キャラクターが作り上げられている。
過去に人々を驚かせた”キャラの濃かった”リアスポイラーといえば(笑)、まずは1993年登場の先代型スープラの姿が浮かぶ。抑揚のあるダイナマイトボディに、まるでドアの取手のような巨大なスポイラーをまとった姿は非常にインパクトがあり、ある意味、曲線版のフェラーリF40のような趣があった。
スポーツカー以外では、1997年のステージアRSなども思い出深い。オーテック仕様のモデルとはいえ、大型ステーションワゴンでありながらルーフの後端にウイングを付けた姿はかなり戦闘的な印象だった。
戦闘的といえば、ミニバンなのに1999年の初代ステップワゴンに設定されていたものは、ルーフサイドガーニッシュと一体化しており、まるで変形ロボットの一部のようで穏やかなイメージのミニバンらしからぬ装備だった。まだ当時はミニバンブームも始まったばかりで、メーカーとしても模索していたのかもしれない。
リアスポイラーの独特さという意味では、やはりスポーツカーになってしまうが、初代NSXにとどめを刺される。大きめのリアスポが付いてるどころか、もはやスポイラーがボディと一部と化しているあの形状には、世界中のスポーツカーの開発者が強い衝撃を受けたに違いない。
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