世界よ、これも三菱車だ! 歴代三菱車から選ぶ「三菱でしか出せなかった唯我独尊車5選」

■レトロな雰囲気のパジェロジュニア フライングパグ

三菱 パジェロジュニア フライングパグ。パジェロブームの中で生まれたパジェロジュニアに設定された限定モデルだ
三菱 パジェロジュニア フライングパグ。パジェロブームの中で生まれたパジェロジュニアに設定された限定モデルだ

 1990年代中盤、三菱はパジェロブームに沸いていた。パジェロの勢いはとどまるところを知らず、三菱は儲かって儲かってしかたがない。本家パジェロでは飽き足らず、軽自動車のパジェロミニ、そしてリッターカー(1.1L)のパジェロジュニアまで作ってしまった。

 そのパジェロジュニアに設定された限定モデルが、「パジェロジュニア フライングパグ」である。

 見てのとおりのレトロカーだが、「取って付けた様」という形容が、これ以上ハマるレトロカーもないだろう。

 当時は確かにレトロカーもブームだった。パジェロブームに沸く三菱が、レトロカーブームにも乗っただけのことだが、お堅い社風のどこからこんな悪ノリが出てくるのか、今ひとつ理解に苦しむ。

 三菱のレトロカーシリーズにはタウンビーがあり、なかでも「ミニカトッポタウンビー」は、ミニ風の丸目と巨大なグリルを取り付けて、悪ノリ感満点だった。

 これらはひょっとして、昔の体育会で常識だった「一気飲み」とか、そういうノリだろうか? ウィ~、悪酔いしました~。

■ルーフレールをつけてRVっぽくした5ドアHBのギャランスポーツ

三菱 ギャランスポーツ。カンガルーバーにルーフレールにリアウイング……当時さまざまな車種で流行していた外装パーツを全部のせ!
三菱 ギャランスポーツ。カンガルーバーにルーフレールにリアウイング……当時さまざまな車種で流行していた外装パーツを全部のせ!

 ギャランスポーツを覚えている人がいるだろうか。実は私もほとんど忘れていたのだが、写真を見て鮮明によみがえってきた。それは、なんとも「急遽仕上げました」的な、安易な雰囲気のクルマだった。

 ベースとなったのは、1992年に登場した7代目ギャランだ。しかし、ギャランには弱点があった。当時はレガシィツーリングワゴンをきっかけにワゴンブームが来ていたのだが、ギャランにはワゴンがなかったのだ。

 そこで三菱は、海外向けだったギャラン5ドアハッチバックをベースに、ルーフレールやカンガルーバー、ついでにリアウイングを取り付けて、「ギャランスポーツ」として発売したのだ。

 ルーフレールはワゴンブーム由来、カンガルーバーはRVブーム由来、リアウイングはバブル期のスポーツカーブーム由来。結果、ギャランスポーツは満艦飾でどこか軽薄な感じのクルマになりました。重厚な会社なのに……。

■なぜか大衆車の4代目ミラージュに世界最小のV6エンジンを搭載してしまったミラージュ6

1992年に登場した三菱 ミラージュ6。1.6Lという世界最小のV6エンジンを搭載した
1992年に登場した三菱 ミラージュ6。1.6Lという世界最小のV6エンジンを搭載した

 1992年、世の中すでにバブルは崩壊していたが、それに気づいていたのは一部の人間で、多くの国民はバブルの余韻に浸り、いまだ贅沢を愛していた。

 クルマも当然高級化を目指す。クルマのキモはエンジンだ。ターボ化だけじゃ飽き足らない。多気筒化こそ真の贅沢! それも、小排気量エンジンを多気筒化して、大衆車を高級化するのが本当の意味での贅沢だ! この世から貧困を追放するのだ! そんな感じの時代でした。

 この流れに乗って、1991年、マツダは1.8LのV6エンジンを搭載したユーノスプレッソを発売。翌年、それを追って三菱は、さらに排気量の小さい1.6LのV6(世界最小のV6)を開発し、4代目ミラージュセダンに搭載した。その名も「ミラージュ6」!

 小さな高級車を目指したわりにお値段はお安く、143万円から。4気筒のカローラと同じか、むしろ安かった。これで大衆車の高級化も大成功だ! とはならず、あまり売れませんでした。なぜだ!?

 それはたぶん、馬力が足りなかったから。ミラージュ6は140ps。4気筒1.6Lターボのミラージュサイボーグは175ps。世の中、まだ質より量だったのですね。

次ページは : ■掉尾を飾るのはあの迷車「ミラージュディンゴ前期型」

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