■歩行者の過失割合が修正される事故とはどんなケース?
歩行者の過失が一般的に高くなるようなケースをいくつか紹介しておこう。
●歩行者が高速道路に進入
高速道路や自動車専用道路では歩行者の進入を禁じている。そのような場所で違法に歩行者が進入した場合の歩行者の基本的な過失割合は80%と非常に高い。本来、歩行者が存在しないことが前提の場所であれば、クルマの過失は小さくなるといっていいだろう。ただし、クルマ側の著しい過失(著しい前方不注意や酒気帯び、20km/h以上の速度違反など)や「重過失」(無免許運転や居眠り、酒酔い、40km/h以上の速度超過など)があった場合には、歩行者の過失割合は10%~20%減算される。
●道路上に寝転がったり、座り込んだり
年末年始や歓送迎会が多い時期に発生しやすいのが、泥酔して道路上に寝たり座り込んだりしている歩行者とクルマの衝突事故である。これも高速道路に進入した歩行者と同様で、道路上に人が寝ている、という状況は通常ありえない。ただし、一般道路であればその可能性は高速道路よりも高い、ということで、歩行者の基本的な過失割合は事故の時間帯によって異なってくる。昼間→30%、夜間→50%と、視界が悪い夜間は歩行者の過失割合が高い。夜間、クルマは歩行者を見つけにくいが、歩行者はクルマのライトで気づきやすい状況となるからだ。このケースでもクルマ側の著しい過失があれば過失割合は変わってくる。
このように、対クルマとの事故において歩行者の基本的な過失割合は、事故の時間帯や場所、歩行者の属性や行動、クルマの過失程度などによって、様々な加算・減算がされるが、特定の状況では歩行者の過失割合が加算される。
●夜間
夜間とは日没から日の出までの時間帯のこと。夜間、クルマは歩行者を発見しにくい状況となるが、歩行者はクルマのライトによってクルマの存在に気づきやすい状況であるため歩行者の過失割合が加算される。
●幹線道路
幅の広い国道や県道などの幹線道路は交通量が多く複数の車線が整備されており原則として車道と歩道が区別されている。にもかかわらず歩行者が幹線道路に入り込んで事故にあえば歩行者側の過失割合が高くなる。
●直前直後の横断
歩行者がクルマの直前や直後を横断することは道路交通法に違反する。道路交通法第13条においては、「歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。」と定められている。
●道路上での立ち止まり(佇立)、後退、ふらふら歩き
歩行者が路上にたたずんでいたり、後退しながら歩いていたり、動きがわかりにくい予想外のふらふら歩きをしていた場合にも歩行者の過失割合が加算される。
●横断禁止場所の横断
交通量が多い幅の広い道路では、「歩行者横断禁止」の標識をよく見かけるが、このように道路標識等によって横断が禁止されている場所では事故にあった際、歩行者の過失が加算される。
■道路横断中の死亡事故はどれくらい発生している?最も高い年齢層は?
(以下、データはいずれも令和4年度版(2022年度版)警察白書から引用)
実際に歩行者の交通事故死亡者数を年代別に見てみよう。令和3年度に発生した交通事故死亡者と人口10万人あたりの死者数である。高齢になるほど死者の比率が上がっていることがわかる。
15歳以下→23名(人口10万人当たりの死亡者数0.15)
16~64歳→196名(同0.27)
65歳以上→722名(同1.99)
65~69歳→64名(同0.81)
70~74歳→117名(同1.21)
75~79歳→147名(同2.19)
80歳以上→394名(同3.29)
特に多いのが「80歳以上」で、人口10万人当たりの死亡者数は3.29と世代別でもっとも高い。65歳以上の死亡事故件数が722件のうち、80歳以上は394件で約55%を占めている。
そして注目すべきは、これら事故で亡くなった歩行者が「どのような違反をしていたのか」、ということである。
令和3年中に941人の歩行者が亡くなっており、そのうち115名が違反をしていたことになる。違反種別は信号無視が最も多いが「酩酊」(めいてい=飲酒して酔っぱらっている)や「徘徊」が多いのも気になるところ。
コメント
コメントの使い方早く道路交通法を改正してもらいたい。飲酒やひき逃げの死亡事故は、殺人罪。その代わりに、高速で轢かれた場合は、全面的に轢かれ損。ひき逃げも飲酒と同じ扱い。歩行者や自転車が、違反してたら車側に、弁償。