■過去には「歩行者の過失10割」の判決も!
最後に歩行者の過失10割、つまりクルマ側の過失を認めなかった例を紹介しておこう。
(1)中央分離帯の樹木の間から飛び出し
夜間、片側3車線(約30m)の国道で中央分離帯の樹木の間から51歳女性が飛び出して右から左に渡ろうとしているときにクルマと衝突。中央分離帯の高さ1.5~4メートルの樹木間にいる歩行者を夜間、確認することは困難で注意義務を怠ったとはいえない。車道上で歩行者を発見した時にはすでに衝突を回避することは不可能だったと認定して、ドライバー側の損害賠償責任を認めなかった。
(2)夜間、幹線道路を横断中に衝突
夜間、信号も横断歩道もない交差点近くの幹線道路上において、小走りで横断してきた歩行者と前照灯を点け時速60km/hで走ってきた中型貨物自動車が衝突した事故。夜間、幹線道路上に飛び出した歩行者の動きは予期できず、またトラックが歩行者を避けることは不可能だったとしてドライバーの過失を認めなかった。
(3)中央分離帯の切れ目からの飛び出し
夜間に片側3車線の交通量の多い交差点で直進してきたクルマと中央分離帯の切れ目から飛び出してきた歩行者が衝突した事故。クルマは前照灯を点灯しており、前方注視の義務等は尽くしていた。また、片側3車線の広い道路に設置された中央分離帯から歩行者が飛び出すことを想定して減速する義務はないとしてドライバーの過失を認めなかった。
歩行者過失10割の事故に共通するのは「夜間」、「片側3車線または幹線道路」、「歩行者の飛び出し」などの要件となる。ルール無視で事故に遭遇すると、たとえ歩行者であっても過失が発生することになり、その過失は時にクルマよりも高くなる場合もある。
しかし、そうはいってもクルマのドライバーには当然、事故を避けるべく注意する義務がある。事故が起きないよう、常に歩行者の動きに注意しながら安全運転を行う義務があるのは当然だ。
また、自分が歩行者になった時はルールをしっかり守って、「クルマが止まってくれるだろう」、「クルマが避けるはずだ」などの過信をせず、無謀な行動は絶対にやってはいけない。
【画像ギャラリー】画像で確認!! クルマと歩行者が衝突しても、すべてが「ヒャクゼロ」ではない!!!(8枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方早く道路交通法を改正してもらいたい。飲酒やひき逃げの死亡事故は、殺人罪。その代わりに、高速で轢かれた場合は、全面的に轢かれ損。ひき逃げも飲酒と同じ扱い。歩行者や自転車が、違反してたら車側に、弁償。