軽自動車は、価格が安くてサイズも小さく、普段のアシとして大活躍している。そうした気軽さゆえか、軽自動車はメンテナンスにあまりお金がかからないと思われがち。
しかし、実際にはエンジンオイルなどの交換サイクルは普通車よりも短く意外にコストがかかる。なぜ軽自動車の交換サイクルは短いのか、徹底解説していく。
※本稿は2022年10月のものです
文/鈴木伸一、高根英幸、写真/Adobestock、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年11月10日号
■ターボ車はよりキビしい… 普通車より短い軽の「交換サイクル」
環境対応への強化がなされている近年のクルマは、各部のメンテナンスサイクルが長く設定される傾向にある。
人間に例えればエンジンにとって「血液」に匹敵するほど重要な働きをしているエンジンオイルも同様で、普通車におけるカーメーカーの推奨交換サイクルはほぼ(メーカーによって微妙に異なる)、次のように規定されている。
●ガソリンNA車/1万5000kmまたは1年
●ガソリンターボ車/5000kmまたは6カ月
ところが、近年人気の維持費が安く、燃費にも優れる「軽自動車」の場合は、
●NA軽自動車/1万kmまたは6カ月
●ターボ軽自動車/5000kmまたは6カ月
……となる。動作時、高温かつ高回転となるターボチャージャーが装着されたターボ車は普通車に準じた短さで、NA車(自然吸気)は普通車の約半分が目安。さらに、シビアコンディションだった場合、普通車は以下のとおり。
●ガソリンNA/7500km、または6カ月
●ガソリンターボ車/2500km、または3カ月
これに対し、軽自動車のシビアコンディションは、
●NA軽自動車/5000kmまたは3カ月
●ターボ軽自動車/2500kmまたは3カ月
となり、やはり軽自動車のターボ車は同等の厳しさ、NAは約半分と、さらに短くなる。
このように、軽自動車のエンジンオイルは普通車よりも早いタイミングで交換するよう推奨されている。覚えておこう。(鈴木伸一)
■なぜ軽のオイルは交換サイクルが短いのか?
小排気量の軽自動車は普通車に比べて低速トルクが弱く、パワーに余裕がない。これは純然たる事実。
高速道路の合流路などで流れに合わせようとした場合、高回転まで引っ張らざるをえない。追い越し加速時も同様で、キビキビ走らせようと思えば回転を高めにキープする必要も出てくる。
このため、トータルでは普通車に比べて常用回転域が高くなる傾向にある。
また、軽自動車の使われ方を考えた場合、高速道路の利用や遠出は少なく、街乗りが主体。それも近所への足。つまり、「ちょい乗り(1回あたりの走行距離が8km以下)」の利用が多いものと思われる。
この1回に走らせる距離が短く、エンジンが温まらないうちに帰ってくる「ちょい乗り」や真夏の渋滞路の「のろのろ運転」といった利用環境も実は「シビアコンディション」に該当する。
渋滞路も短時間ならまだしも、長時間に渡ってエンジンの放熱が追いつかない状況に陥って油温(エンジンオイルの温度)が限度(一般に130℃)を超えてしまった場合、性能が一気に低下する。街乗りは慢性的な渋滞に巻き込まれやすいので注意が必要だ。
ちなみに「シビアコンディション」とは、悪路走行が30%以上、走行距離が長い、山道など上り下りの頻繁な走行が30%以上といった、エンジンオイルに負担がかかる過酷な使用条件下における交換サイクルで、これに該当したら早めにオイル交換を行う必要がある。(鈴木伸一)
コメント
コメントの使い方部品交換のサイクルが早いのは納得。それでも軽自動車の人気が高いのは税金の安さ。