■ブレーキAYCを初搭載したエクリプスクロスPHEV
もし、4輪のブレーキをもっと個別に理想的に扱えれば、こうした特殊テクニックは必要でなくなる。コーナーで内輪となる車輪にブレーキをかけることで外輪に駆動力を配分する、いわゆるブレーキAYC。これが初めて搭載されたのがエクリプスクロスPHEVだったのだ。
そして、アウトランダーPHEVでは、さらに後輪の内輪にもブレーキをかける前後輪ブレーキAYCへと進化している。ただ、これらは通常旋回や加速旋回時、つまり減速のためにブレーキを使用していない状況にかぎられている。もし、減速時にもブレーキAYCが使えたら、さらに旋回性能は高まるだろう。
実は、三菱はそうしたシステムの制御と車両コントロールの自在性について、ほとんど最適解を得ている。WRC時代に培ったノウハウで、すでに4輪制御の答えを持っているのだ。
それを市販車に落とし込むために、制動力やABSとの整合性、法規制対応などを地道に進めている。ほかのメーカーのように進化のための進化ではなく、すでに知っている究極の答えに市販車を一歩ずつ近づかせるための進化と言っても過言ではない。それが今、三菱の4WDシステムが歩んでいる道程なのだ。
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