■最大の努力をするも納期が縮まらないもどかしさ
新型プリウスの販売に関して、筆者独自に販売店への取材を進めていくと、いつものトヨタとは違う傾向が出てきていることが分かってきた。
まずは事前予約について。販社ごとに対応は様々だが、比較的多くの販売店で「事前予約は行わない」という回答が出てきている。その理由としては「混乱を避けるため」と、需給ギャップが大きくなることを見越し、早期に対応を決めているようだ。
「事前予約で注文すると、クルマが早く納車される」という至極当たり前の理屈が、今は通らない。かつては予約を入れれば、発売から1か月足らずで新型モデル乗れたが、今では蓋を開けるまで、初動の生産台数すら読めない状態。発売前に予約を入れても、1年後に納車というのが、今の当たり前なのだ。
しかし、予約を入れるユーザー側は、そんなことは微塵も思っていない。故に予約を入れたユーザーの期待に応えることが出来ないと判断したディーラーでは、「事前受注」や「予約」という概念を取り払い、納期未定のまま通常通り注文を受け付ける構えである。
一部販売店からは、2023年1月から6月までの予定配車数も出てきた。販売店の規模、保有ユーザー数、販売計画数などによってその数は上下するようだが、ハイブリッドモデルは最盛期1か月分の販社受注台数が、半年間で配車される程度。PHEVはさらに厳しく、配車枠全体の5%程度の台数だ。
「その数字は販社ひとつの数字ではなく、1店舗の半期の注文台数では?」と、筆者も目を疑った。プリウスも1~2年待ちが通常営業となりそうな雰囲気である。
コロナ・円安・海外情勢の不透明感などもあり、残念ながらメーカーの最大限の生産努力もなかなか実を結ばないのが現実だ。新型プリウスの国内向け生産体制も、なかなか厳しいようだ。
販売チャネルの中では、トヨタ店とトヨペット店が比較的配車枠にボリュームを与えられているようだが、それでも半年以内の納車枠を勝ち取るのには、かなり厳しい競争が強いられそう。
世界的にも、特に北米市場で人気の高いプリウス。実際に日本の街中で走行シーンを見られるのはいつの日か。30系の時のように、「石を投げればプリウスに当たる」と言われた時代が懐かしい。生産事情が落ち着くまでは、プリウスも高嶺の花となりそうだ。
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