■各部署が目指した「大きな目標」
新型プリウスは、そのおかげもあって、骨格からクルマづくりがスタートした。担当者は「骨格がかっこよければ、デザイナーは苦労しない」と言っていたが、前述したように、まるでスポーツカーのような綺麗な出立ちとなっている。
しかし、各部署のタスクを抑えてまでプロポーションを作り込んだこともあって、以前よりスポイルされている部分は見受けられた。
全高が低められピラーが極端に寝ているため、後席の空間はやや狭くなった。そして、実はCd値も先代より悪くなっているという。
先代は複雑なキャラクターラインこそ入っているものの、面自体はフラットだった。先代のように、ルーフラインのピークを前方に持ってきて、そこから後方に空気を流した方がCd値は良くなるそうだ。
しかし、クルマを作る上で大切なのは、Cd値を向上することではなく、燃費を良くすること。トヨタの技術をもってすれば、Cd値で失った燃費は、他の方法で補うことができる。まだ詳しい燃費は発表されていないが、その言葉からは自信が感じられた。
「以前は、それぞれ担当のタスクを達成することが目標になってしまい、それを守ろう守ろうとして、部門同士で譲ることができない言い合いも起きていました。それを、新型プリウスでは、全員で目指すものを明確にすることで、デザイン含めて達成できたものがたくさんあったと思います。
各部署の目標ではなく、全体の目標を達成するという意識をしっかり持てクルマづくりをできたことが、今回の愛されるプリウスの誕生に繋がったと思います」
全体の目標を見据えてモノづくりをするのは、当たり前のことのようにも感じるが、トヨタという大会社となれば、部署も大きく、各部門同士のコミュニケーションも複雑なのだろうと推察する。自分の部署での仕事に必死になり、クルマの全体像を捉えきれないまま開発をしていた部分もあるのではないだろうか。
新型プリウスは、「愛されるクルマを作る」ということを念頭において、一丸となって開発に取り組んだ。それが、これまでとは一線を画したデザインを生んだのだ。新型プリウスは、トヨタが自らの殻を破ったからこそ、完成したモデルと言っても過言ではない。
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