「暖機運転」必要なのはクルマより人間だった!? 技術の進化とだからこそ大事な使う側の心得

ハイブリッド車やバッテリーEVも「暖機走行」でOK

 また、発進時にモーター駆動となるハイブリッド車は、イグニッションをオンにして待っていても、エンジン全体へエンジンオイルを行き渡す「暖機運転」はそもそもできず、バッテリーEVには、そもそもエンジンがありませんので、暖機運転はできません。

 こうした電動車も、前述した「暖機走行」は心がけてほしいところ。ラジコンではバッテリーの温度は暖かめのほうが速く走りますが、バッテリーの適正温度は20~30度といわれており、ハイブリッド車やバッテリーEVでは、走行しながら徐々にバッテリー温度が上がるので問題ありません。逆に、バッテリーEVでは、高速走行をした後などでバッテリーの温度が上がると、走行直後の充電速度が下がります。これは温度上昇保護機能によって、バッテリーにダメージが及ばないよう、クルマ側が充電速度をセーブするため。温度が高くなりすぎるほうが、よくないのです。

暖機運転は、CO2排出量を増やす

 暖機運転に関しては、「エンジンが冷えている状態よりも、暖まったほうが、燃費がよくなるのでは??」と考えている人も多いようです。確かに、エンジンをかけた当初の燃費は悪くなりますが、その間1ミリもクルマを動かしていないのであれば、トータル燃料消費量は多くなります。

 独立行政法人の環境再生保全機構による調査でも、「暖機運転を行わないほうがNOx、PM、CO2の排出量は低減する」ことが判明しています。また、「5分間暖機運転をするとガソリンを約0.16L消費する」という結果も得られています。燃料が高騰しているいまは、特に、燃料消費はできる限り最小限に抑えたいところ。燃費の観点からも、暖機運転は必要ないのです。

暖機運転は、トータルでの燃料消費量が増えてしまう(PHOTO:Adobe Stock_ Petro)
暖機運転は、トータルでの燃料消費量が増えてしまう(PHOTO:Adobe Stock_ Petro)

ひと呼吸するくらいでOK

 以上のように、エンジンへの機械的なダメージ回避は、自動車メーカー側で念入りに対策がなされていますので、我々は特に気にする必要がありません。

 それよりも「ドライバーの暖機運転」のほうが重要。寒さで身体が縮まったドライバーによる運転操作ミスのほうが、よっぽどリスクが高いと思います。ガラスが凍っているならば溶かして視界を確保し、クルマを始動させ、ひと呼吸して心と体を整えてから、丁寧に運転を開始するくらいで、ちょうど良いのはないか、と考えます。

【画像ギャラリー】暖機運転って全くしなくてほんとに大丈夫?? ハイブリッド車やEVは??(6枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタ自動車の壮大なるBIGネーム復活計画の第四弾は……なんとトヨタセリカ!? 新型ホンダフリードの注目情報や、レーシングドライバー岩佐歩夢選手の新旧ホンダスポーツカー試乗など、GW明けから全力投球な企画だらけです!