昔は「必須」だった暖機運転。暖機運転は、エンジンを始動した後、走行の前にエンジン全体へエンジンオイルを行き渡すことによるエンジンの保護を目的として行われていたものですが、技術が向上した近年のクルマでは「必要ない」とされています。
ただ、それでも、なんとなく「やっておいたほうがいいのかも」と思っている方も多いはず。純ガソリン車のみならず、ハイブリッド車やバッテリーEVでも、「やっておいたほうがいいような」と、イグニッションをオンにして、しばらくしてから出発する、ということをしている人もいるかも知れません。
ただ、ハイブリッド車やバッテリーEVはもとより、純ガソリン車であっても、近年のクルマでは、いわゆる「暖機運転」は必要ないばかりか、できるだけしないでほしい行為のひとつ。暖機運転が必要ない理由と、しないでほしい理由をご紹介します。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:写真AC_エンリケ
写真:Adobe Stock、写真AC
「暖機走行」でOK
冒頭で触れたように、「暖機運転」は、エンジン全体へエンジンオイルを行き渡すことによるエンジンの保護を目的として行われていたもの。ただ近年のクルマは、エンジンが暖まっていなくても本来の能力が発揮できるようにつくられているため、エンジンの暖機は必要なくなっています。
自動車メーカーでは、極低温から高温地帯まで、あらゆるシチュエーションでシミュレーションと実験を行い、エンジン開発エンジニアが念入りに燃焼プロシージャ(手順)をチューニングしています。そのため、クルマ任せにしておけばよく、特に我々が暖機を気にする必要はありません。
ただ、人間の身体と同じで、クルマもカチコチに固まったままだと、動作がぎこちなくなるため、クルマ全体を暖める「暖機走行」は心がけてほしいところ。ミッション(ミッションオイル)、デフ(デフオイル)、ブレーキ、ハブベアリングやドライブシャフトのグリスなどは走ることで、徐々に冷えが解消していき、スムーズに動くようになっていきます。
自動車のオーナーズマニュアルにも「停車しての暖機は基本的に不要」と明記されています。例えば、日産車の場合は「長期間、車を使用しなかったときや極低温のときは、数十秒の暖機運転を行なってから走行を開始してください。それ以外の場合は、エンジンを始動したら、すみやかに走行を開始してください」と、記載されています。
暖機を気にする時期は、フロントガラスの凍結も多い時期であり、暖機運転とかねて、フロントガラスが溶けるのを待つ、という人もいるようですが、ヒーターの熱で溶かすには時間が必要。エンジンをかけて溶けるのを待つよりも、解氷スプレーを使うか、少し前にSNSで話題となった、お湯(熱湯はガラスが割れるリスクがあるためNG)をいれたビニール袋でガラスの面をなでる方法などで対策したほうが、早く出発することができます。
コメント
コメントの使い方マイナス20度の車内で車を運転してみろ。
暖機ではなく暖気は必要なんだよ。