「優先すべきは命」!! EVで雪の夜に立ち往生した際に死なないための3ヶ条

暖房器具があれば、エアコンOFFでも一晩車内で過ごせるかも

 2021年、JAFはBEVが大雪で立ち往生した際の、効果的な防寒対策についての調査結果を公表しました。調査は、4つの暖房使用条件においてBEVの電力消費の違いを調べ、消費を抑えつつ体に負担のない有効な防寒対策を検証したもので、外気温マイナス8.1度のなか、暖房条件を変えた4台のBEV(実験開始時のバッテリー残量70%)に1名が乗車(運転席)し、19時から0時までの5時間を車内で過ごす、というもの。暖房条件は、

1.オートエアコン25度常時稼働
2.電気毛布(電源ソケット使用)のみ
3.シートヒーターをHi、足元に電気フットヒーター(電源ソケット使用)
4.毛布を使用し、寒くなったらエアコンON、寒くなくなったらエアコンOFF

 という内容で行われました。その結果、暖房条件1の車両では快適に過ごせたものの、暖房条件2~4の車両では、手足の先端や肌が露出している部分など、暖房器具では覆いきれない箇所はかなり冷えたとのこと。暖房器具は必須であることがわかります。

実験開始時と終了時の車内温度。テスト終了時には、暖房条件2~4の車両において、低温を示す青色や緑色の範囲が広くなっている(JAF「まさかの大雪で立ち往生!備えはできている? 電気自動車での安全な防寒対策を検証」より)
実験開始時と終了時の車内温度。テスト終了時には、暖房条件2~4の車両において、低温を示す青色や緑色の範囲が広くなっている(JAF「まさかの大雪で立ち往生!備えはできている? 電気自動車での安全な防寒対策を検証」より)

 また、バッテリー残量がいつまでもつかを検証するため、上記実験終了後も同じ条件を継続(乗員は全員降車、条件4の車両は常時オートエアコン25度に)したところ、暖房条件1の車両は午前4時半にバッテリー残量が10%となり実験終了、オートエアコンに切り替えた暖房条件4の車両も25%まで低下、暖房条件2と3は実験終了時も50%以上残るという結果となったそうです。

19時から翌8時まで、1時間ごとに測定した電力残量。青で示されているのが暖房条件1の車両(JAF「まさかの大雪で立ち往生!備えはできている? 電気自動車での安全な防寒対策を検証」より)
19時から翌8時まで、1時間ごとに測定した電力残量。青で示されているのが暖房条件1の車両(JAF「まさかの大雪で立ち往生!備えはできている? 電気自動車での安全な防寒対策を検証」より)

 また、北見工業大学の実験によると、バッテリー残量58%のBEVで、エアコンを25度に設定したものと、18度に設定した場合では、25度に設定した車両では5時間後に20%まで低下したのに対し、18度に設定した車両では5時間後も40%残ったそう。また、スマホの充電や車内灯、ライト、ハザードの点灯に関しては、バッテリーの消費に変化はなかった、とのこと。

 ただ、立ち往生が解消されたあと、充電ステーションまでの移動を考えると、エアコンの常時使用はやはりリスクがあります。実験では、電気毛布やフットヒーターが登場しましたが、他にもカイロや充電式の湯たんぽ、電熱ベストなどもよいのではないでしょうか(筆者のお薦めは充電式湯たんぽ)。

そうはいっても無理は禁物!! ただ、暖房器具は常備しておくべし

 以上のことから、雪の中での立ち往生に対し、BEV乗りが備えておくべきは、

1.雪が降っている(もしくは雪が降ることが予想される)場合は、クルマの使用を控えるか、バッテリー残量に常に余裕をもつことを心がける
2.毛布や電源ソケットを使用する暖房器具、カイロなどを人数分用意する
3.どうしてもエアコンを使う場合も、できるかぎり設定温度を下げる

 といったところでしょうか。ただ、そうはいっても、優先するべきは命。エアコンOFFでは窓ガラスも凍り付きますし、JAFも「無理は禁物」としています。電欠になって危険を感じたら迷わずJAF(救援ナビダイヤル0570-00-8139」)を呼びましょう。JAFに加入していないとレッカー費用がかかりますが、命には代えられません。

 ただ、電力消費量が少ない、電源ソケットを使用する暖房器具があれば、BEVでも立ち往生から生還できる可能性があるようです。冬に雪が多い地域でBEVに乗る機会のある方は、万が一に備え、冬場は電源ソケットが使える暖房器具や毛布などを常備しておいてください。

【画像ギャラリー】電気自動車が雪の夜に立ち往生したらどうなるか? 備えておくべき3ヶ条(10枚)画像ギャラリー

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