昨シーズンも、各地で大雪によるクルマの立ち往生が発生しました。チェーン未装着車両がスタックしてしまったことや、周辺の交通が停滞していたことによる交通集中、事故などが原因で引き起こされる大雪の中の立ち往生は、ひとたび発生してしまうと、クルマが走らないことによって道路にどんどん雪が積もっていき、雪が降り続く間、状況は悪化していく一方。立ち往生となってしまうと、何時間もクルマのなかで過ごす覚悟をしなければなりません。
もちろん、純ガソリン車やハイブリッド車であっても、立ち往生は恐ろしい事態ですが、なかでも恐ろしいのは、クルマがBEV(Battery Electric Vehicle)だった場合。BEVに乗ったことがある人はわかると思いますが、BEVは暖房(エアコン)を使うと電力を大量に消費してしまい、あっという間に電欠に陥ってしまう可能性があるのです。もしBEVが雪の夜に立ち往生してしまったらどうするのか、備えておくべきものとともにご紹介しましょう。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_ Rico Löb
写真:Adobe Stock、写真AC、JAF
BEVでの大雪の中の立ち往生は「寒さとバッテリー残量との戦い」
2022年は、多くのBEVが登場しました。国産車でいえば、5月にスバル「ソルテラ」/トヨタ「bZ4X」、6月に日産「サクラ」、輸入車では、BMW「iX」(2021年11月登場)のほか、Audiからは、「Q4 e-tron」「e-tron S」、メルセデスからも「EQB」「EQE」「EQS」が登場したほか、12年ぶりに日本市場へ復活を果たしたヒョンデの「IONIQ5」も話題となりました。 まだまだ、街中を走るクルマの多くは、純ガソリン車(もしくは純ディーゼル車)やハイブリッド車ですが、日産「サクラ」のように、(補助金を含めれば)手頃に購入することができるモデルが増えるにつれて、冒頭で紹介したように、立ち往生で電欠に陥るBEVが増えることも予想されます。
ご存じのとおり、BEVはバッテリーに蓄えた電力で走行する電動車。自ら発電することはできず、純ガソリン車やハイブリッド車が、燃料がなくなると動けなくなるように、BEVはバッテリーに電力がなくなると動けなくなります。
純ガソリン車やハイブリッド車は、燃料がなくなっても携行缶で補給してもらうことができますが、BEVの場合は、充電設備が移動してくれるわけでもなく(移動式充電設備はないわけではないが数が非常に少ない)、電欠してしまうと、JAFなどのロードサービスでレッカーしてもらうしか術はなくなります。立ち往生によって、その場から動けないとなった場合も、なんとか電欠だけは避けたいところ。
ただ、冒頭で触れたように、BEVは暖房で大量の電力を消費、そのぶん航続距離は短くなってしまいます。BEVでの立ち往生は「寒さとバッテリー残量との戦い」なのです。
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