こちらの記事でもご紹介している通り、日本では好調に売れているものの、世界的には逆風のなかにあるディーゼル車。そんなディーゼル車、数年後の状況や下取りを考えても「買い」なのだろうか?
日本で乗るディーゼル車購入のメリットとデメリット、そして今と数年後を、自動車ジャーナリスト国沢光宏氏は次のように考察する。
※本稿は2018年11月のものです
文:国沢光宏、桃田健史/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2018年12月26日号
■日本にしかないディーゼル車のメリットがある?
(TEXT/国沢光宏)
やはり、ディーゼルのメリットといえば「燃費のよさ」である。顕著なのは重くて大きいクルマだ。最近ガソリンエンジンの熱効率が大幅に向上しているものの、ディーゼルのような高圧縮比を売りにしているマツダのSKYACTIV-Gですら、同じ車両のディーゼル搭載車と燃費比較したらお話にならない。「ガソリンエンジン使った最も熱効率のいいパワーユニット」であるハイブリッドだってディーゼルに届かぬ。
ハリアーやCR-Vのハイブリッドとディーゼルエンジンを積むCX-5の実用燃費を比べると、チョイ乗り&都市部の激しい渋滞を除き基本的にディーゼル優位。大雑把なイメージでいえば車重1500kgあたりがハイブリッドとディーゼルのボーダーラインだと考える。それ以下の車重だとハイブリッドが優位。それ以上になったらディーゼルのほうが燃料コストで勝る(ガソリンと軽油だと燃料の価格も15%程度違う)。
ちなみにディーゼル唯一にして最大の弱点となっているのは「チョイ乗りを繰り返すとススが溜まり調子悪くなる」というもの。燃焼時に発生するススを処理するため、一旦『DPF』と呼ばれるフィルターでキャッチ。一定量溜まったら燃焼させ燃やす。されどチョイ乗りばかり繰り返したら、溜まったススを燃やす時間を確保できない。20分以内のチョイ乗りが続くと、やがてチェックランプがついて調子が悪くなります。
発生したススは吸排気系にも溜まる。こう書くと「なぜ吸気系に?」と思うだろうが、クリーンディーゼルの場合、排気ガスをもう一度吸気側に戻す。これをEGRと呼ぶのだけれど、その通路にススがベッタリ張り付きトラブルを起こす。
エンジンが暖まるとススも乾き、強い空気の流れにより剥がされるものの、暖まるまでは水分を含みベタベタしている。溜まると空気の流れを阻害し、やはりエンジンの調子は悪化します。
そもそも短い距離しか乗らないのなら、あえてガソリンエンジンより高価なディーゼルを選ぶ必要もないと思う。逆に、年間走行距離が多いという使い方であれば、燃費がよくて太い常用回転域のトルクを出すディーゼルは日本の道路環境に合っている。何より日本の場合、軽油のほうがガソリンより圧倒的に安い。世界的に見るとガソリンと軽油はほぼ同額。軽油の安い日本でディーゼルに乗らないのは損だとすら考えます。
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