発売数ヶ月前に受注って言われても……最短最速で乗り心地を判別するには

販売店での試乗のときに覚えておきたい!! 乗り心地のチェックの仕方

 そして乗り心地は、販売店の周辺をひとまわりする程度でも、正確に把握できる。路面の荒れた速度の低い道路ほど、乗り心地の良し悪しが明確に分かるためだ。販売店の周辺にある舗装の悪い場所を時速50km以下で走ると、デコボコの吸収性を確認できる。

 試乗するとき、「試乗開始後の3分間」は、ドライバーは特に運転に神経を集中させたい。試乗開始の直後は、試乗車に慣れておらず、違和感が明確に分かるからだ。そこから5分程度を経過すると、無意識にクルマに合わせた運転を行って、違和感が薄れてくる。逆に腰の痛みなど、長時間運転で見えてくる欠点もある。

 乗り心地のチェックでは、体を使って、振動やあおられる感覚を検知する。ステアリングホイールを握る掌、シートと接している腰、AT車ならフットレストに置いている左足だ。路面の荒れた場所を時速50km以下で走ると、掌や腰を通じて細かなデコボコの伝わり方が分かる。

 マンホールのふたを乗り越えたり、段差を通過したときは、腰からヒップに神経を集中させる。角の立った粗い突き上げ感なのか、それとも角の丸い穏やかなショックなのか、乗り心地の質を把握したい。

 可能であれば、速度を高められるバイパスや高速道路でも試乗する。街中で感じた細かなデコボコの吸収性や突き上げ感とは違う乗り心地が分かるからだ。路面がうねっている場所では、車両にも大きな上下左右の動きが生じて、あおられるような不快感が生じることもある。

 この主に上下方向のあおられ感は、なるべく短時間で収束させたい。上下動が収まらずに続くと、乗員に不快感を与え、走行安定性も悪化させるからだ。その代わり、この性能を高めると、低速域の乗り心地が硬くなる場合もある。ボディやサスペンションの設定が難しいところだ。

 以上のように乗り心地は、街中を中心にした販売店の試乗でも確認できるが、可能であれば高い速度域でも走り、前述のあおられ方や走行音なども確認したい。

クルマ酔いを生じにくいクルマを選ぶときに確認すべき点は?

クルマ酔いしにくいクルマを目指した新型セレナのシート。前滑りを低減するシートクッションを採用し、シートベルトが身体に食い込みにくく、圧迫感を軽減するという
クルマ酔いしにくいクルマを目指した新型セレナのシート。前滑りを低減するシートクッションを採用し、シートベルトが身体に食い込みにくく、圧迫感を軽減するという

 乗り心地と長距離移動時の疲労には、シートも大きな影響を与える。最も悪いシートは、腰の支え方が曖昧で、着座姿勢が安定しないタイプだ。このようなシートは、今の日本車の前席では大幅に減ったが、後席には残っている。腰が落ち着かないから、乗員の姿勢が走行中に乱れやすい。また上半身の重さを腰(骨盤)で確実に支えられないと、疲労や腰痛の原因にもなりやすい。

 さらに同乗者の上半身と頭部が不規則に動くと、クルマ酔いを誘発する心配もある。シートは、着座姿勢を安定させて上半身や頭部のムダな動きを抑え、腰からヒップ、大腿部を確実に支えて疲労を防がねばならない。

 ドライバーや同乗者の座り方も重要だ。同乗者は、移動の最中に着座姿勢を変えたくなる気分は分かるが、浅く腰掛けるのは避けたい。体を確実にサポートできず、腰の支え方が曖昧なシートに座っている状態に近付くからだ。

 シートを正しく機能させるには、前席であればリクライニングを使って背もたれの角度を適度に立てて、体を背もたれと座面に密着させる。このように座ると、体の中でも特に重い頭部と上半身が骨盤で支えられ、着座姿勢も乱れにくい。

 試乗するときも、後席を含めて深く座り、腰がしっかりと支えられて体が安定するシートを選ぶ。そこに先に述べた粗さや突き上げ感を抑えた乗り心地が加わると、快適な移動が行える。

 乗り心地に準じた機能として、同乗者から見たときの視界も大切だ。特に後席は閉鎖感が強まりやすく、クルマ酔いを発生させる原因にもなる。今は日本車、輸入車を問わず、外観に躍動感を与えるため、サイドウィンドウの下端を後ろに向けて持ち上げる車種が増えた。後退時にドライバーの視界を悪化させ、バックモニターに頼った運転になりやすい。言い換えれば危険を伴うボディスタイルだ。

 しかもこのボディ形状は、乗員にとっても周囲が見にくく、穴蔵に入ったような不快な感覚に陥る。特に座高の低い子供は、チャイルドシートに座っても風景が見えず、不機嫌になったりクルマ酔いを誘発する。

 従って後席に座っても前方や側方が見やすく、クルマ酔いを生じにくい車種を選びたい。後席に座る同乗者にとっては、視界も乗り心地の構成要素に含まれる。

次ページは : 乗り心地のほかにチェックしておきたい点は?

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

トヨタの韋駄天が覚醒する! 6代目NEWスターレットのSCOOP情報をはじめ、BC的らしく高級車を大解剖。さらに日産・ホンダの協業分析、そして日向坂46の富田鈴花さんがベストカーに登場! 新社会人もベテランビジネスマンまで、誰もが楽しめるベストカー5月10日号、好評発売中!