まるでスーパーカー! 走行性能も申し分なし!!
AZ-1はショーで好評だったタイプAをベースに、ボディを新規格に合わせてサイズアップするとともにエンジンも660ccの3気筒に引き上げた。ショーカーはリトラクタブル式ヘッドライトを採用していたが、AZ-1はシンプルな固定式の丸型ヘッドライトだ。だが、エンジンをシート後方に置くミッドシップ方式や跳ね上げ式のガルウイングドアはショーカーから引き継いでいる。
このレイアウトを実現できたのは、スケルトンモノコックと名付けた独自のシャシーフレームを採用したためだ。
樹脂製のボディパネルを除いた骨格部分は、軽量で剛性の高いモノコック構造となっている。ボディパネルとモノコックは分離することが可能だから、違うデザインのボディを被せることも簡単だった。
サイドシルはレーシングカーのように高く、キャビンもタイトな空間だが、剛性と安全性は高い。AZ-1はスーパーカーと同じように、ガルウイングドアのガラスはほんの少し開くだけだ。また、ドライビングポジションはカートと同じように低く、運転席にはリクライニング機構もない。
ドライバーの背後に搭載されるパワーユニットは、提携しているスズキから調達した。選ばれたのは、アルトワークスやカプチーノに搭載され、好評を博している657ccのF6A型直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボだ。
最高出力は64ps/6500rpm、最大トルクは8.7kg-m/4000rpmと、720kgのボディには余裕たっぷりの動力性能である。その気になれば9000回転の手前まで引っ張ることができた。トランスミッションは5速MTだけの設定だ。サスペンションは4輪ともストラットで、4輪にディスクブレーキを装備している。
多くの困難を乗り越え、正式発売に漕ぎ着けたのは92年9月だ。走らせると、まさにレーシングカー感覚の乗り味だった。ターボは3000回転を超えたあたりからパワーとトルクが増し、弾けるような加速を披露する。ショートストロークの5速MTを駆使しての走りが楽しい。ハンドリングは無類にシャープだ。
「未体験ハンドリングマシン」のキャッチフレーズそのままに、狙ったラインを寸分狂いなく駆け抜けることができた。だが、当時の軽自動車はABSやトラクションコントロールがない時代だったし、タイヤも155/65R13だ。そのため限界域ではナーバスな動きになる。場合によってはスピンを誘発し、簡単に向きを変えた。
マツダAZ-1は、同じミッドシップ方式のホンダのビート、スズキのFRスポーツ、カプチーノとともに「ABC軍団」と呼ばれ、走りにこだわる若者たちを魅了している。
3車のなかで最もパワフルで,じゃじゃ馬だったのがマツダAZ-1だ。速く走らせるためにはそれなりの技量が必要だったから、乗り手を選んだ。
そのために敬遠する人も少なくなかった。レーシングカーに限りなく近い、マニアックすぎる変態マイクロスポーツカーの誕生は、いろいろと好条件が揃ったから実現した。発売に漕ぎ着けたのは、奇跡としか言いようがない。デビューから30年を迎えた今、マツダAZ-1の凄さと誕生した価値がハッキリと分かる。
【画像ギャラリー】ABC軍団と呼ばれた個性派軽スポーツ「AZ-1 」「ビート」「カプチーノ」をギャラリーでチェック!!(20枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方面白いクルマですよ!2台所有してます。
言われる程にハンドリングは怖くないです。
でも油断してると事故リます。
購入した当日に廃車した人もいます。
下手に国産車だと考えずイギリス製のキットカーだと思えば部品探しも楽だしエンスー入門にピッタリですね。
私の意見は異端だと思いますがAZ-1は楽しいクルマですよ。
初心者には勧めません。
挙動の穏やかなロードスターかS660の方が良いです。
バブルだったからねえ。
中々すごい車でしたよ。低速域では良く曲がるんだけど。高速域では落ち着きなく怖かったな。RRに近いから、よく回るしねぇ。ジムカーナには良かったみたい。
後足の位置が左にオフセットしてるんで、ペダルの位置が。