スバル クロストレックの実力と今後 マイルドハイブリッド全振りでどうなる?

■車名統一!! スバル新型クロストレックはどのようなクルマなのか?

質感と使い勝手が向上したインテリア。レヴォーグなど上級モデルと同じ11.6インチの縦型センターインフォメーションディスプレイを採用
質感と使い勝手が向上したインテリア。レヴォーグなど上級モデルと同じ11.6インチの縦型センターインフォメーションディスプレイを採用

 クロストレックのボディサイズは、XVとほぼ同じだ。全長は4480mm、全幅は1800mm、全高は1575mm(シャークフィンアンテナの非装着車は1550mm)で、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2670mmだから等しい。

 XVと明確に変わったのはグレード構成で、XVのパワーユニットは水平対向1.6Lと2Lのe-BOXER(マイルドタイプのハイブリッド)だったが、クロストレックは後者のみだ。開発者は「環境規制への対応なども考慮してe-BOXERに絞った」と述べている。

 そのいっぽうで駆動方式は、従来の4WDに加えて、前輪駆動の2WD(スバルはFWDと呼ぶ)も加えた。開発者は「他社の商品から乗り替えるお客様の場合、4WDが不要と考える場合もあり、2WDも用意した」という。

 ボディサイズと同様、車内の広さもXVと同様だが、全長が4500mm以下に収まる割に実用性は高い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には、握りコブシ2つ半の余裕がある。この広さはハリアーと同等かそれ以上だ。

 クロストレックではシートの造りが見直され、特に前席は、腰から大腿部付近を体のラインに沿ってしっかりと支える。峠道を走っても着座姿勢が乱れにくく、長距離を移動するときも頭部が左右に振られず快適だ。クルマ酔いを防ぐ効果も期待できる。内装も上質で、XVのユーザーがクロストレックの運転席に座ると、進化を実感するだろう。

 動力性能はXVと大差ない。車両重量が1500kgを上まわり、加速力は充分とはいえないが、実用的にパワー不足も感じない。クロストレックでは、遮音性能やCVT(無段変速AT)を進化させ、XVに比べてノイズも小さくなった。

 プラットフォームは前述の通りXVと共通だが、フルインナーフレーム構造を採用して、ボディ剛性、サスペンションやステアリングシステムの取り付け剛性などを向上させた。そのために走行安定性が高まっている。

 例えばカーブを曲がるときにステアリングホイールを回し始めると、機敏ではないが、小さな舵角から正確に反応する。従来のXVもSUVでは重心が低く、後輪の接地性を高めて走行安定性は優れていたが、クロストレックでは車両の進行方向が自然に変わる。ステアリングホイールの操舵角に応じて、XV以上に正確に回り込むようになった。

 そのいっぽうで注意すべき点もある。まずサイドウィンドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げた。XVにも当てはまる話だが、斜め後方の視界が良くない。購入時には、縦列駐車や車庫入れを行って、後退時に不安がないかを確認したい。

 乗り心地はボディ剛性の向上などによってXVに比べると粗さを抑えたが、路面の荒れた場所を時速40km以下で走ると硬めに感じる。乗り心地は販売店の試乗車を街中で運転するだけでも分かるから、確かめておきたい。

■4WDがオススメ?? 気になるグレード選びはどうすればいい?

 グレード構成は、ツーリングと上級のリミテッドに大別され、ツーリングの4WDは288万2000円だ。4WDのみだったXVに、2Lエンジンを搭載した最も安価なグレードが265万1000円だったから、単純には23万円値上げされた。機能も向上したが、昨今の製造/輸送コストの上昇で、実質的に10万円ほど価格を高めた。これは仕方ないところだ。

 グレードを選ぶときは、まず2WDと4WDを選択する。4WDは価格が20万円高いが、悪路走破力を高めるXモード、ポップアップ式ヘッドランプウォッシャー、LEDリヤフォグランプ(オプション価格から算出した換算額は5500円)も加わる。

 そこを含めると、4WDの正味価格は18万円だ。4WDはアクセルペダルを踏んでいるときに加えて、下り坂のカーブを曲がるときも2WDに比べて安定性を高めるから、正味価格が18万円なら買い得だ。従って駆動方式は4WDを推奨したい。

 次はグレードを決める。リミテッドはツーリングに、ステアリング操作に連動して照射範囲を変えるフルLEDヘッドランプ、運転席と助手席の電動調節機能、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステム、デジタルマルチビューモニター、自動防眩ルームミラー、アルミパッド付きスポーツペダルなどを加えた。

 これらの装備を価格に換算すると合計約48万円だが、リミテッドとツーリングの価格差は40万7000円だ。従って装備と価格のバランスではリミテッドが割安になる。

 ただしリミテッドに加わる装備内容を確認して、不要な品目が含まれる場合もあるだろう。そのときは、ツーリングにセットオプションを加える買い方も検討する。フルLEDヘッドランプと電動フロントシートなどのセットオプションは15万9500円(2WD)、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムとデジタルマルチビューモニターなどのセットオプションは24万2000円で用意される。

 ツーリングに40万円以上のセットオプションを加えるなら、リミテッドにグレードアップした方が買い得だが、一部の装備だけが欲しいときは、ツーリング+セットオプションを活用すると購入予算をムダなく抑えられる。欲しい装備に応じて、リミテッドか、ツーリング+セットオプションかを選択したい。

次ページは : ■クロストレックのライバル車と今後の課題とはなにか

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