■震災の翌日に「のぞみ」が出発したときは特別な思いが
指令員歴の長い、島田指令長にはこんな思い出もある。
「東日本大震災が発生した際、この指令所自体も大変な揺れでしたが、まずは現状を把握すべく、全列車緊急停止の手配をすぐに実施しました。東海道新幹線では甚大な被害はなかったものの、日本中が混乱する中、翌日には東海道新幹線においてもダイヤ改正が控えていた。なんとしてでも3月12日の初列車を「通常通り」に出す。このことを目標に指令所全体が団結し各所調整を続け、指令業務にあたりました。翌朝、新ダイヤで「のぞみ1号」が定時に東京駅を当たり前のように出発した際には指令員みんなに特別な思いがめぐりました」
先を急いでいる時は特にストレスを感じてしまう鉄道のダイヤ乱れ。しかし、「当たり前」の定時運行が行われている時は、その尊さに気づけないものだ。どの鉄道事業者に話を聞いても「定時かつ安全安定輸送は大前提の使命」と話す。使命とはいえ、その維持にはとてつもない労力と時間が費やされてきた。
ダイヤが乱れたその瞬間も、背景には一刻も早い事態の収拾と解決、ダイヤ回復を目指すプロフェッショナルたちの仕事がある。その仕事に敬意を払いつつ、運転再開を慌てずに待つ心のゆとりを保ったり、振替輸送、代替交通手段などを有効活用したい。
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