■195/50R19サイズが実現する燃費と操縦安定性
すでにオロジック開発当時から分かっていたことですが、タイヤの転がり抵抗はトレッド面のグリップが作り出す抵抗だけではなく、タイヤのトレッド面やサイドウオールを含めたゴムの変形が作り出す発熱がエネルギーロス≒転がり抵抗になります。
そこで低発熱のゴムの開発や配合剤の進化(シリカの分散性など)によって、極端にタイヤ幅を細くしなくても転がり抵抗を低く抑えることができるようになったのでしょう。
タイヤ幅を広くできると、横剛性やねじり剛性を高めることができ、コーナリング中のタイヤの変形も抑えることができるようになります。
一般的なタイヤサイズよりもナローで、空気抵抗低減や接地面積を(一般的なサイズのタイヤよりは)小さくすることができ、同時に操縦安定性も両立させることができる、そんなちょうどいい落としどころが195/50R19というサイズだったのでしょう。
プリウス+195/50R19サイズの組み合わせについて言えば、徹底的に転がり抵抗を低減し燃費に特化したタイヤ……ではなく、高性能なエコタイヤ並みに転がり抵抗を低減しながら操縦性を両立させることを、トヨタは狙ったのでしょう。
ちなみに、新型プリウスに装着されるタイヤはブリヂストンだけでなく横浜ゴムのブルーアースGTも用意されています。
じつはタイヤ外径が大きいということは、同じ距離を走るときタイヤの回転数が少なくなるので(ほんのわずかですが)タイヤライフにも有利に働きます。
i3という特殊な電気自動車ではなく、量産車プリウスに採用されたことで、今後このラージ&ナローコンセプトのタイヤは様々なクルマに採用されるようになるかもしれません。
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コメント
コメントの使い方大径タイヤにして接地長を稼いでトレッドを小さくしても接地面は必要分を確保しています。タイヤのリム打ち防止もあるので気圧を高くすると乗り心地は硬めかな?
とても興味深い記事で、欲しいと思う情報と詳しく知るための単語がしっかり入っており、大変助かりました。良い構成と文章ですね。
コメントも含めて勉強になりました。ありがとうございます
タイヤの大径化だけでなく、スピードレンジが50扁平なのにHレンジで押さえてある。
一般的には50扁平になるとVレンジ(またはそれ以上)になりそうなところを、あえてHレンジにしてタイヤのしなりを確保しているようです。
それと、サスペンション周りも大径化に対応できるように煮詰めてあるのでしょうね。